通常の原子核は、下図のように陽子と中性子から成り立っています。しかし、その後、陽子や中性子は、バリオン(重粒子)と呼ばれる一群の粒子の仲間に属していることがわかってきました。そのようなバリオンのなかで、陽子・中性子の質量に近い、質量の小さなバリオンとしてストレンジネス(奇妙さ)という量子数で特徴づけられる粒子(ハイペロンと呼ばれる)たちがあります。ラムダ粒子、シグマ粒子、グザイ粒子などがそれです。それぞれ、10-10秒程度の寿命で崩壊してしまうのですが、原子核のなかで短寿命なものの寿命10-25秒に比べると充分長寿命といえます。


このようなハイペロンが入った新しい種類の原子核(ハイパー核と呼ばれる)というのは存在するのでしょうか。実は、ハイパー核が存在することは、既に1952年に発見されています。しかし、ハイパー核を人工的に作り出すのは容易でなく、これまでに数十個のハイパー核が見つかっているのみです。また、ハイペロンが複数個入ったハイパー核についても、まだ、ほとんど判っていません。このようなハイペロンが多く含まれる核物質(ストレンジ物質)は、中性子星と呼ばれる星の内部の高密度原子核状態において実現されているかもしれないと考えられています。




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