素粒子とは?
一般に、物質を構成する最も基本的な粒子を素粒子と呼んでいます。私たちの体、動物、魚、木、花などの地球上のものは、1億分の1センチメートル程度の大きさの原子からできています。また、原子はその大きさの1万分の1の原子核と、その回りに引き付けられた電子よりできています。さらに、原子核は幾つかの陽子と中性子が結び付いたものです。

素粒子発見の幕開け、19世紀末
物質の基本的な構造や、互いに及ぼしあう力の根源を説き明かそうとする高エネルギー物理の歴史は、素粒子の発見を通して行われてきました。その発端はちょうど100年ほど前にさかのぼります。1897年、J.J.トムソンは真空管を通る陰極線が電子であることを発見しました。この発見が素粒子発見の第一号です。

当時、物理学者の興味の対象でしかなかった電子が、100年の後、エレクトロニクス技術の基礎となり、テレビ、パーソナルコンピュータを始めとする今日の高度情報化社会を生み出しました。特に、テレビのブラウン管は陰極線をそのまま利用しています。

 1930-1940年代には宇宙線の中から、電子の反粒子である陽電子、ミューオン、湯川秀樹博士の予言したパイ中間子などが発見されました。1950年代以降、粒子加速器を用いて、陽子の反粒子である反陽子そしてK中間子を始めとする多くの粒子が生成され発見されました。その総数は数百にも上ります。そのほとんどは電気力より100倍の大きさの強い力を及ぼしあうハドロンの仲間です。すべての粒子には、陽電子、反陽子などのように互いに出会うと消滅してしまう反粒子が存在することも判明しました。

電子や陽子以外の粒子は、自然界で安定に存在することができません。それらの平均寿命はきわめて短く、すぐに、パイ中間子、K中間子、ミューオンなどの比較的寿命の長い粒子に崩壊してしまいます。また、中性子は原子核の中だけで安定に存在し、その外に置かれたとき、平均寿命15分20秒で崩壊し陽子、電子、ニュートリノに変化してしまいます。

歴史的には、陽子、中性子そして他のハドロンも素粒子と呼ばれていました。それらはクォークという粒子で構成されている複合粒子であることがわかりましたので、厳密な意味で素粒子ではありません。本来、素粒子とは『内部構造を持っていない粒子』を指します。

現在のところ、物質の素粒子は、電子、ニュートリノ、ミューオンなど強い力を感じないレプトン、そして、ハドロンを作るクォークです。


大きな(小さな)数の表示方法:
1億という数は1のあとに0が8つも並ぶ100,000,000で表示することができます。もっと大きな数になるとさらに多くの0が並びその表記が煩雑になります。そこで、1億は並んだ0の数の8を10の右肩の上に置き、108(10の8乗)と表します。また、その分数は右肩の数の前にマイナス符号(-)を付けます。したがって、1億分の1は10-8(10のマイナス8乗)と表します。




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新粒子発見、20世紀なかば
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