所要時間:約4分

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講演会の様子。プラネタリウムのドームに説明用のスライドを投影して講演が行われました。/ KEK IPNS

2019年1月21日 追記しました。

2018年11月24日に特別上映会&講演会 「サイエンスレクチャー ~加速器で探る宇宙~」をつくばエキスポセンターで開催し、定員となる200名が来場しました。 本イベントは、つくばエキスポセンターが主催、KEK素粒子原子核研究所が共催として行われた共同イベントです。

本イベントでは、初めにプラネタリウム専用の映画「Phantom of the Universe —The Hunt for Dark Matter —」を上映しました。この映画は、スイス・ジュネーブ近郊にある欧州合同原子核研究機関(CERN)のアウトリーチ担当研究者などが監修して作成したものです。映画では正体不明の物質「暗黒物質」の存在が提唱された歴史から、暗黒物質の正体を探るために行われているCERNの実験を含む様々な実験が、迫力のある全天周映像で紹介されていました。

その後は名古屋大学大学院理学研究科の戸本誠准教授と、KEK素粒子原子核研究所の花垣和則教授による講演がありました。

最初の講演は戸本准教授によるもので、「宇宙を満たす謎の物質~暗黒物質~」というタイトルでした。戸本准教授は、過去の銀河の観測研究等から暗黒物質の存在が考えられるに至った話から始まり、素粒子物理学の基本事項や、超対称性粒子という未知の素粒子が暗黒物質の最有力候補である事等を、順序立てて分かりやすく解説していました。

来場者の質問に回答する戸本准教授。

来場者の質問に回答する戸本准教授。

続いて、花垣教授の「暗黒物質の正体に迫る巨大加速器LHC」というタイトルでの講演がありました。講演では、CERNで行われている4つの実験の1つであるATLAS実験に関して、測定器や検出器の仕組みや開発の過程も含めて紹介されていました。また、超対称性粒子の検出を目指しているATLAS実験の現在の状況や、今後の目標等もユーモアを交えつつ解説していました。

講演する花垣教授。

講演する花垣教授。

質疑応答では、「暗黒物質が発見されたら私達の生活にどのような影響があるのか」という質問が出ましたが、これに対して花垣教授は「教科書が書き換わるので受験生に影響があるかもしれない」とジョークを交えて会場を和ませつつも、「日々の生活にすぐには何の影響もないかもしれないが、人間の知識の限界を広げたい」と回答していました。他にも「大量にある陽子の衝突からどのように有効なデータを取り出すのか」といった多くの質問が寄せられ、イベント終了後も講演者の2人に話を聞く来場者の姿も見られました。


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