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所要時間:約4分

第13回サマーチャレンジ参加者と小林 誠 特別栄誉教授、スタッフ・TA一同。/<i class='fa fa-copyright' aria-hidden='true'></i> KEK IPNS

第13回サマーチャレンジ参加者と小林 誠 特別栄誉教授、スタッフ・TA一同。/ KEK IPNS

2019年8月20日〜28日の間、第13回サマーチャレンジがKEKつくばキャンパスで開催されました。今年は北海道から福岡までの全国17か所の都道府県から61名の大学学部生や高専生が参加しました。

サマーチャレンジとは、基礎科学を担う若手を育てることを目的とした科学技術体験型スクールで、大学3年生を主な対象として実施しています。主なプログラムは最前線で活躍する研究者による講義と素粒子・原子核の本格的な演習です。この他に、KEKつくばキャンパスと東海キャンパス(J-PARC)の施設見学ツアーや、様々な分野で活躍中の社会人との対話から進路を考えるきっかけとすることを目的としたキャリアビルディングなども実施しています。

KEKつくばキャンパスでのSuperKEKB加速器見学の様子。他にも放射光実験施設(PF)とBelle II測定器を見学しました。東海キャンパスの施設見学では、午前にJ-PARCの研究者による講義があり、午後からはハドロン実験施設、物質・生命科学実験施設(MLF)、ニュートリノ実験施設の3か所を見て回りました。

KEKつくばキャンパスでのSuperKEKB加速器見学の様子。他にも放射光実験施設(PF)とBelle II測定器を見学しました。東海キャンパスの施設見学では、午前にJ-PARCの研究者による講義があり、午後からはハドロン実験施設、物質・生命科学実験施設(MLF)、ニュートリノ実験施設の3か所を見て回りました。

初日には、2008年のノーベル物理学賞受賞者の1人である小林 誠 特別栄誉教授による特別講演がありました。「素粒子研究の系譜」というタイトルでの講演に、参加者は皆メモを取りながら真剣に聞き入っていました。他にも加速器、放射線、統計、素粒子、原子核、宇宙がテーマの講義があり、各回とも皆熱心に聴講し、休憩時間も講師への質問に並ぶ列が見られるほどでした。

小林 誠 特別栄誉教授による特別講演の風景。

小林 誠 特別栄誉教授による特別講演の風景。

演習では事前に組み分けられた9班に分かれ、素粒子・原子核に関する研究が行われました。各演習はテーマの選定、準備から期間中の指導まで、KEK以外にも東北大学、首都大学東京、東京工業大学、お茶の水女子大学、国際基督教大学、金沢大学、名古屋大学、大阪大学、神戸大学、九州大学など多くの大学のスタッフやTAによる協力で成り立っています。演習では班によってKEKにある実験装置を実際に使用したり、参加者が自分達ではんだ付けし、回路を組みながら作成した装置を使用して各演習テーマの対象を測定しました。その結果を参加者自身で解析し、演習班のメンバーや様々な研究機関の研究者・TAと議論しながらまとめました。

演習6班の演習の様子。6班の課題は「 宇宙線ミューオンを捕まえて素粒子の対称性を調べよう」でした。写真では、参加者達がコイルの中にシンチレーターという宇宙線を捉える検出器を設置しています。中央にある巨大コイルも参加者自身で作成しました。

演習6班の演習の様子。6班の課題は「 宇宙線ミューオンを捕まえて素粒子の対称性を調べよう」でした。写真では、参加者達がコイルの中にシンチレーターという宇宙線を捉える検出器を設置しています。中央にある巨大コイルも参加者自身で作成しました。

演習1班「反粒子を捕まえよう ~最軽量原子ポジトロニウムの崩壊観測実験~」の解析の風景。教員やTAと一緒に議論しながら、参加者自らが測定結果の解析を進めました。

演習1班「反粒子を捕まえよう ~最軽量原子ポジトロニウムの崩壊観測実験~」の解析の風景。教員やTAと一緒に議論しながら、参加者自らが測定結果の解析を進めました。

最終日には各演習班の研究成果の発表会が開催されました。発表会は演習班ごとの口頭発表とポスターセッションの二部で構成され、互いの発表を聞いた参加者間で質問や議論が時間いっぱいまで続きました。

発表会の様子。

発表会の様子。

修了式では幅 淳二 理事より参加者全員に修了証書(未来の博士号)が手渡されました。

修了式では幅 淳二 理事より参加者全員に修了証書(未来の博士号)が手渡されました。

第13回サマーチャレンジの校長である池上 陽一 講師(KEK 素粒子原子核研究所)は、サマーチャレンジを終えて「多くの参加者に研究する楽しさを伝えることができ、大成功のうちに第13回のサマーチャレンジは終了しました。」とコメントしました。

参加者は、「とても楽しかったです。毎日演習班のメンバーや研究者とたくさん議論できる機会はとても貴重だと感じました。」、「人間が自然を探るのではなく自然が人間に教えてくれるのだと感じました。」、「実際に今覚えている方程式がどのようなことに使われるかを目の当たりにできたことが印象に残っています。普通に生活していたら出会えない仲間と出会えたのは一番大きい思い出です。」などと9日間を振り返っていました。

第14回サマーチャレンジの参加者は来年春に募集予定です(変更の可能性があります)。


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