活動報告

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ILC物理測定器グループが2021年4月の活動報告を行いました。ILC計画は、全長約20kmの線型加速器で電子と陽電子を衝突エネルギー250 GeVまで加速し、正面衝突させ、物質に質量を与える粒子であるヒッグス粒子を大量に生成します。そうしてヒッグス粒子と他の素粒子の間に働く力の強さ(ヒッグス結合定数)を1%レベルあるいはそれを切る精度で測定するヒッグスファクトリー(ヒッグス工場)実験です。ヒッグス結合の精密測定により、標準理論を超える物理を解明することを目指します。

2020年8月からKEKがホストする国際推進チーム(IDT)による新しい推進体制が始まりました。これからILC準備研究所(ILC Pre-Lab)の設置と運営を含む、建設に向けた準備作業が行われます。

素核研ILCグループが中核メンバーとして参加するILD(International Large Detector)グループでは、技術設計書(TDR)以降の測定器設計の最適化に向けた進展を総括した報告書(IDR)を完成させると共に、ILC実験の第1期の計画に向けた物理シミュレーション研究や様々な装置開発を進めています。中には総合研究大学院大学(総研大)の学生が先導する研究も多くあります。

例えば、シミュレーション研究から、250 GeVヒッグスファクトリー実験で捉えることを目標としている反応の様子を理解したり、情報をいかに精度よく引き出すか検討しています。他にも、物理検討をより精密に行うために必要となるモンテカルロ(MC)データ生成、中央飛跡検出器(TPC)開発や陽電子源開発なども進めています。特に陽電子源開発に関しては、陽電子を生成するための標的を高真空の環境下で回転させるのですが、時々真空度が悪くなる(空気が入り込み圧力が上昇する)という問題が観測されていました。そこで、二段式に真空する構造にしたところ、無事問題が解決しました。

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ILCグループ

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