for pulic for researcher English
news@kek
home news event library kids scientist site map search
>ホーム >ニュース >News@KEK >この記事
last update:07/09/06  

   image 夏の終わりに    2007.9.6
 
        〜 一般公開に3800人 〜
 
 
  8月もお盆休みを過ぎると、KEKの敷地内はなんとなく慌しい雰囲気が漂います。普段にはないテントや看板が立てられたり、案内図が貼られたりと、通常の研究に勤しむ姿とは違った顔を見せ始めます。

去る9月2日の日曜日は、毎年恒例となっているKEKの一般公開日でした。今年は、3800人もの方々に訪れていただき、大盛況の内に開催することができました。今回のNews@KEKは、多くの方々にご参加いただいた、一般公開の様子をお届けします。

普段は見られない施設を

一般公開の最大の特徴は、なんと言っても、普段は見ることのできない実験施設を、この日ばかりは間近に見ることができることでしょう。特に加速器は、実験期間の運転中は決して近づくことができません。今年の一般公開では、600mの電子陽電子線形加速器や1周3kmのKEKBファクトリー加速器、放射光の光源加速器と、現在、KEKのつくばキャンパスで実験成果を生み出している主力の加速器が揃って公開されました。それぞれの加速器の説明に熱心に耳を傾ける方々や、初めて見る加速器を興味深そうに見入る方々など、加速器に対するさまざまな表情に出会うことができました。

また、Bファクトリー実験で、宇宙と物質の創生に迫る巨大なBelle測定器や、物質や生命の謎を解き明かす放射光の実験装置群も、その威容や機器の精密さとともに、そこで得られる研究成果を紹介させていただきました。

今年も人気だった体験教室

「おもしろ物理教室」や「ラジオを作ってみよう」、「紙飛行機を作って滞空時間に挑戦しよう」の体験教室は、今年も人気を集めました。抽選券や整理券の配布時間には、各企画、各回ともに長蛇の列ができました。

おもしろ物理教室は、「デジタル温度計を作って、液体窒素から沸騰水までの温度を測ってみよう」でした。電気回路を作るときに必要な基本技術のハンダ付けを体験してもらい、自分でデジタル温度計を組み立てるというものです。主に小学生を中心とした参加者は、研究者の指導のもと、電子部品のハンダ付けに苦労しつつも、−196℃の液体窒素から100℃の沸騰水までの温度の計測に成功すると、自然と笑みがこぼれていました。

最先端研究の講演会

今年の講演は、素粒子原子核研究、物質構造研究、それぞれの分野から気鋭の教授2人が、研究の最前線を紹介しました。

齊藤直人氏(大強度陽子加速器計画推進部教授)による「物質の起源」と題した講演では、現在の素粒子原子核研究が直面する物質や宇宙の謎と、その謎の解明への取り組みを紹介しました。澤博氏(物質構造科学研究所教授)による「“もの”の不思議を探る」では、放射光により解き明かすことのできる物質の世界の魅力を紹介しました。

それぞれの講演の模様を以下からご覧いただけます。

      ・この講演のビデオはこちら

J-PARCをバーチャルに見学

現在、東海村で建設が進む大強度陽子加速器(J-PARC)については、今年は展示が充実しました。J-PARCの概要、ニュートリノ振動実験、ハドロン実験、中性子実験、ミュオン実験のそれぞれが展示ブースを設け、パネルや模型、実物展示により、KEKがJ-PARCで行おうとしている研究計画をあますところなく紹介しました。普段は、主に東海村で実験開始に向けた準備に従事している研究者が、この日はつくばキャンパスを訪れた来場者に、J-PARCの魅力を紹介しました。

また、KEKコミュニケーションプラザには、つくばに居ながらにして、J-PARCの臨場感を体感できるバーチャル3D映像もお目見えしました。

間もなく実験が始まるJ-PARCについては、今後も、つくばや近郊の皆様にもその進捗状況をお伝えしていきますので、ご注目ください。

史料室展示「日本における加速器の歴史」

昨年から始まった、史料室による展示は、今年は「日本における加速器の歴史」でした。今回は特に、1937年の日本初のサイクロトロンの完成、戦後GHQ によるサイクロトロンの投棄、1954年の京都大学基礎物理学研究所、1955年の東京大学原子核研究所の発足まで、日本の加速器史の黎明期と呼ばれる時期にスポットを当てて紹介しました。この内容は、一般公開後も、KEKコミュニケーションプラザに展示されていますので、ご覧になれなかった方は、是非足をお運びください。

今年は、暑さも峠を越し、過ごし易い陽気だったためか、皆さまごゆっくり見学していただけたようです。これから1年間、来年の一般公開では、更に充実した内容をご案内できるように、一同、研究活動に勤しんでいきたいと思います。

それでは、また、来年の一般公開でお会いしましょう。



※もっと詳しい情報をお知りになりたい方へ

→一般公開のwebページ
  http://openhouse.kek.jp/
→2007年一般公開写真集
  http://openhouse.kek.jp/2007/photos.html
→KEKコミュニケーションプラザのページ
  http://www.kek.jp/ja/event/communicationplaza/
→「ラジオを作ってみよう」のwebページ
  http://www-acc.kek.jp/WWW-ACC-exp/
          KEKB/control/activity/Radio/

→「霧箱を作ろう」のwebページ
  http://rcwww.kek.jp/~sanami/kiribako/

→関連記事
  ・02.07.11
    科学と遊ぼう 〜一般公開ご案内〜
  ・02.09.12
    KEKに2300人 〜一般公開ハイライト〜
  ・03.08.07
    放射線が見えた! 〜手作り霧箱教室〜
  ・03.09.18
    KEKに3900人 〜一般公開ハイライト〜
  ・05.09.01
    展示ホールをオープン 〜東京から近くなったKEK〜
  ・06.09.07
    宇宙・物質・生命をつなぐ糸 〜一般公開に2900人が来訪〜
  ・07.04.19
    KEKってどんなところ? 〜研究所を見に来ませんか〜
  ・07.06.14
    夏の学びのイベント 〜ご家族向けから大学院生まで〜
  ・07.07.26
    科学で遊ぼう 〜つくばエキスポセンターでの催し〜

 
image
[図1]
今年の一般公開には3,800人の方々が来訪した。
拡大図(116KB)
 
 
image
[図2]
放射光の光源加速器を見る見学者。
拡大図(147KB)
 
 
image
[図3]
Belle測定器もメンテナンスの様子を間近で見ることができた。
拡大図(101KB)
 
 
image
[図4]
「紙飛行機を作って滞空時間に挑戦しよう」「ラジオを作ってみよう」「おもしろ物理教室」などは子供達に大人気の企画で、抽選券の配布に長蛇の列ができる。
拡大図(89KB)
 
 
image
[図5]
「おもしろ物理教室」では自分でハンダ付けして作ったデジタル温度計を使って、液体窒素や沸騰水の温度を測定した。
拡大図(148KB)
 
 
image
[図6]
講演会では大強度陽子加速器計画推進部の齊藤直人教授(写真)による「物質の起源」と、物質構造科学研究所の澤博教授による「"もの"の不思議を探る」の講演が行われた。
講演のビデオはこちら
拡大図(104KB)
 
 
image
[図7]
KEKコミュニケーションプラザ内に設置されたバーチャル3D映像では、J-PARCのトンネル内の様子を見ることができる。
拡大図(112KB)
 
 
 
 
 

copyright(c) 2004, HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION, KEK
〒305-0801 茨城県つくば市大穂1-1
proffice@kek.jpリンク・著作権お問合せ