第7回 サマーチャレンジ開催される

 

8月16日(金)から24日(土)までの9日間にわたり「第7回 大学生のための素粒子・原子核、物質・生命スクール サマーチャレンジ」が開催されました。サマーチャレンジは、KEK、日本中間子科学会、高エネルギー物理学研究者会議、原子核談話会、PF-UAが共催するサマースクールで、主に大学3年生を対象に、日本の将来の基礎科学を担う若き知の育成を目的として毎年8月にKEKつくばキャンパスで開催するものです。この期間、研究最前線で活躍する研究者による講義やKEKの施設見学も行われます。なかでも、演習では研究者から直接指導を受けながら実験や解析を行い、最後には発表するという研究の一連の流れを体験することができます。今年は全国57大学から約90名の大学生が参加しました。

初日は小林誠KEK特別栄誉教授による「素粒子研究の歩み」と題した特別講演が行われ、素粒子物理学発展の歴史について紹介されました。他にも、加速器や物質・生命、宇宙、素粒子・原子核、数物、放射線など多岐にわたる内容の講義が連日行われました。


小林誠 特別栄誉教授の講義


素粒子・原子核コースの実習の様子


物質・生命コースの実習の様子

また、サマーチャレンジの目玉である演習については、今年は15テーマ(素粒子・原子核コース9テーマ、物質・生命コース6テーマ)の演習が実施されました。演習では大学やKEKの研究者が設定、準備したテーマに基づき、参加学生が自分たちで実験を行います。こうして取得したデータに対して、自ら議論し考えることを重視し、最終日にはそれぞれの班が演習の成果を発表しました。物質・生命コースでは、秋にも放射光を利用した実験を行う予定です。サマーチャレンジの演習で作成した試料を測定したり、実験から導かれた仮説を秋のビーム実習で確かめることができます。


最終日の発表会の様子


ポスターセッションの様子 発表会では理解しきれなかった疑問を演習班同士で説明し合いました


施設見学の様子。写真は国際リニアコライダーに向けた研究の行われている先端加速器試験施設(ATF)

その他にも、つくばキャンパスの施設見学やキャリアビルディングが行われました。特に、キャリアビルディングでは研究機関や企業で研究される方の生の声を聞くことで、参加者が将来を考える上での参考とすることができます。

最終日に行われた修了式では一人一人に未来の博士号が手渡されました。住吉孝行 KEK理事から参加者に向けて「研究を楽しんだ人は?」という問いかけがあり、会場にいるほとんどの参加者が手を挙げる場面がありました。また、「研究は失敗ばかりですが、それを糧に改良することで今日まで研究というものは続いて来ました。皆さんには研究のそういうスタイルを覚えておいて欲しい。」と述べていました。鈴木厚人 KEK機構長からは朝永振一郎博士の「ふしぎだと思うこと、これが科学の芽です」という言葉が贈られました。

さらに、各演習班ごとに1冊ずつ、小林誠 KEK特別栄誉教授の著書「消えた反物質」が贈られました。本には小林特別栄誉教授の直筆サインの他、サマーチャレンジからのメッセージも添えられました。演習班内で連絡を取り合い、回し読みすることでサマーチャレンジ期間中に留まらない、物理を志す仲間の繋がりが今後出来て行くことが期待されます。


集合写真

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関連サイト

サマーチャレンジHP
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物理若手コロキウム
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