高エネルギー加速器研究機構
環境報告2007
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同じ電力消費でより多くの実験成果を 〜電力の有効利用と加速器の性能向上〜

  現在KEK・つくばキャンパスには、KEKBと呼ばれる電子・陽電子衝突型加速器、物質構造を研究するための放射光施設用電子蓄積リング、両加速器へ電子・陽電子を入射するための直線加速器、技術開発のための試験加速器などがあります。これらの中で最も大きなKEKBは、一周3kmの2本の真空パイプの中に8GeVの電子、3.5GeVの陽電子をそれぞれ蓄積し、交差部で互いに衝突させることによってB中間子を作りだす加速器です。精度の高い実験を行うためには膨大な量のB中間子を作る必要があり、より多くの電子と陽電子を強く絞り込んで衝突させる実験を24時間体制で続けています。幅200ミクロン、高さ5ミクロンに絞り込んだ数百億個の電子、陽電子を正確に衝突させるKEKBは世界最強の加速器です。
KEKBのホームページ: http://www-acc.kek.jp/kekb/

  KEKBが蓄積するビーム電流は電子が1.4A、陽電子は2Aですが、これを支える超高電圧発生装置と電磁石には40MWを超える電力が必要です。この電力をおろそかにしないためには、節電だけでなく同じ電力消費でより多くの実験成果を引き出すための努力が大切であると考え、様々な開発と改善を実践してきました。図1は1999年にKEKBが実験を開始してからの毎月の消費電力を示しています。運転開始以来、蓄積電流の増加につれて電力はゆっくりと増加しています。一方、得られた実験事象(月毎の積分ルミノシティー)は図2に見られるように目覚ましい上昇を続けており、結果としてエネルギー資源が有効に活用されていることになります。これは加速器を構成する装置ひとつひとつの性能向上だけでなく、新しいアイデアの実践、より精密なビーム制御、きめの細かい保守作業と安定な加速器運転を続けてきた結果です。


図1:KEKBの運転開始以降の月毎の電力消費
図2:運転開始以降の月毎の積分ルミノシティーの推移

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