HEPnet-J 40年の歴史に幕

Web技術が高エネルギー物理学(HEP)コミュニティーの中で開発されたように、高エネルギー物理学では、メールなども含むネットワーク技術が非常に早くから高度に利用されていました。HEPnet-Jは日本の高エネルギー物理関連大学研究機関を結ぶ自律した専用ネットワークとして1980年代のネットワーク黎明期よりKEKが主導し、HEPに関連する大学を(その当時における)高速で結び、高エネルギー物理の発展に寄与してきました。その後、学術ネットワークをめぐる状況は大きく変化し、日本の学術情報ネットワークであるSINET6が国内すべての都道府県を100Gbps以上で接続し、HEPnet-Jが担ってきた独自の帯域確保という役割は終わりました。最盛期には35大学・拠点が参加していましたが、2020年度にHEPnet-Jの廃止予定が決定される際には15大学になり、2023年9月29日に最後の名古屋大学が利用を終了して、40年間の幕を降ろしました。LatticeQCDなど計算物理学で利用されている計算資源を大学間で結んでいる HEPnet-J/sc は別のネットワークとして、今後も使われ続けます。

図 1 HEPnet-J 開始時の歴史と通信速度
図 2 最盛期(1991)の接続ノード