KEKキャラバン、7月は東京都と茨城県に派遣

 

image003.jpg霧箱実験を実演する、大須賀鬨雄特別准教授(社会連携部)。

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣するプログラム「KEKキャラバン」を実施しています。7月は東京都と茨城県において、計5件のキャラバンを実施しました。

7月1日(金)、つくば市市民研修センターで、つくば市筑波地区シルバークラブ連合会が主催する「生き生きシルバー教室」で、KEKキャラバンを実施しました。「放射線」について知ろう!というタイトルで行われた、講演には、70~80代の約60名が参加しました。講演後には、霧箱実験を行い、実際に放射線を観察しました。

image005.jpg講義中の共同利用研究推進室長の小林克己教授

7月7日(木)、東京都新宿区のパルシステム生活協同組合連合会の東新宿事務所でKEKキャラバンによる出前授業を行いました。30名を対象に、「放射線の人体に与える影響 ~低線量放射線影響に関するこれまでの知見~」というタイトルで講演を行いました。
講演では、放射線と放射能の単位について、放射線に照射された細胞における影響、DNAの損傷の重要性、生物細胞が持つDNA損傷の機能、その重要性、低線量放射線影響について疫学研究からわかっていること、生活習慣等によるリスクと、放射線リスクの比較、規制値付近の線量を浴びた場合の生物影響は、実生活ではあまり心配する必要が無いことなどを解説しました。低線量放射線のリスクは、規制値を超えたらすぐに危険になるのではなく、線量依存的なものであり、また、規制値におけるリスクは、他の生活要因によるリスクより大きくはないということを説明しました。

image007.jpgのサムネール画像講義中の共通基盤研究施設 放射線科学センター 松村宏准教授

7月26日(火)、茨城県のつくば市総合教育研究所にて、つくば市教育委員会主催の最先端科学技術講習会で、KEKキャラバンによる出前授業を行いました。市内の幼稚園、小学校、中学校の先生、およそ50名を対象に、「福島第一原発から生活圏に飛散した放射性物質-放射線の基礎から現在の状況までを理解する-」というタイトルで講演を行いました。
講演では、放射性物質の基礎、環境放射線(原発事故前)、原発からの放射性物質による福島県の汚染、つくば市の放射性物質の現状について、解説しました。講演後のアンケートでは、「放射線の基礎から詳しくお話していただき、『目からウロコ!!』の話ばかりでした。学校で全職員に周知していきたいと思います」、「実際に研究や測定されている立場の方からのお話でわかりやすく、説得力がありました。学校現場では、『これで安心』となかなか言えないところが多いのですが、常に高い問題意識を持っていたいと思います」といった感想が寄せられました。

image009.jpgのサムネール画像暗幕をかぶり、霧箱の中の粒子の軌跡を観察するこどもたち。

7月28日(木)、国立科学博物館で開催された「2011夏休みサイエンススクエア」(主催:独立行政法人国立科学博物館)において、「簡単物理実験:霧箱で素粒子の観察にチャレンジ」を実施しました。KEKの「サイエンススクエア」への参加は今年で4回目。KEKキャラバンの一環として、KEKの教員と職員を派遣しました。5回の講座で50名を超える小学校4年生以上の子どもたちが霧箱作りに挑戦し、キャンプ用のランタンに使うマントルに少量含まれるトリウムから放射されるアルファ線を観察しました。通常は目に見えないものを初めて目にした子どもたちは「本当に(放射線が)見えた!」などと口々に話しながら、保護者と一緒に観察していました。

image011.jpgのサムネール画像霧箱の説明をする、森田洋平准教授(社会連携部広報室長)

もう1件は、つくば市立真瀬小学校でKEKキャラバンを実施しました。教職員を対象に「福島第一原発から飛来した放射性物質とつくばの環境放射線量」というタイトルで講演を行いました。KEKで行われているつくば市内の環境放射線量の測定について解説し、霧箱やサーベイメーターによる実演とともに放射線に対する基礎知識と環境への影響、今後の見通しなどについて講義を行いました。講演後には、「放射線について基礎から知ることができました」、「放射線のことをきちんと知り、正しく怖がろうと思いました」といった感想が寄せられました。

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