放射光を使った分析法XAFSの高度化と標準化に関する会議 Q2XAFS開催

 

12月8日(木)、9日(金)、放射光を利用した分析手法であるXAFS(X-ray Absorption Fine Structure:X線吸収微細構造(ザフス))の国際標準化に向けたワークショップがKEKで行われました。これは、KEKの放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)が会議実行の中心となり、国際結晶学連合(IUCr)、IXAS(International X-ray Absorption Society:国際X線吸収学会)、日本XAFS研究会とともにKEKが共催する会議です。当初は2011年4月に開催予定でしたが、東日本大震災の影響により12月に延期されました。米国、フランス、オーストラリアなど11ヶ国から60名を超える参加者があり、21件の講演と23件のポスター発表が行われました。

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ワークショップは若槻壮市PF施設長の挨拶に始まり、その後のセッションでは物質科学などへ利用するためにX線ビームを制御する技術、計測技術、試料調整等について意見交換が行われました。測定の際のエネルギー較正、データフォーマット等は、国ごとあるいは施設ごとに異なっているのが現状で、これらを統一することで様々なデータの比較、議論の質の向上を図ることがこのワークショップの目的のひとつで、これは信頼性の高い実験結果を出すことにつながります。さらに、今回のワークショップでは、新しい実験技術の手法についての議論も行われました。XAFSは試料の形態にとらわれずに分析できるため、利用分野も様々です。X線イメージング、非熱平衡系観察の新しい手法など生命科学、物質科学の多岐にわたる実験手法について具体的な事例をもって議論されました。そして、XAFSを利用した環境技術の開発として触媒が反応する「その場観察」に関する最新の成果が報告されました。また、ポスター発表では、特に優秀なもの4件に対し奨励賞が贈られました。最後に、XAFSの可能性をさらに広げるために、放射光光源やビームラインの将来構想についても議論されました。

関連サイト

Q2XAFS 2011
放射光科学研究施設 フォトンファクトリー
X線吸収微細構造(XAFS)ステーション

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