本協力事業は、機構及び英国ラザフォード・アップルトン研究所を中心とする中性子散乱研究グループが協力して、パルス中性子散乱研究を1997年度から開始したものである。
機構の中性子科学研究施設(KENS)のパルス中性子源から発生する中性子を用いて、現在約500人の研究者が物性物理をはじめ、生物、化学、材料科学、基礎物理にいたるまで、幅広い研究活動を実施している。研究の中心は物質科学であり、それぞれの物質を構成する原子の配列を明らかにし、また、それら原子の運動の形態を調べることにより、物質が示す物性(超伝導、磁性、誘電性、化学的性質、生体反応等)の起源を明らかにすることを目的としている。
近年、物質科学の進展とともに大強度中性子源を利用しなければ実施できない研究が増加してきており、これまで以上に大強度中性子源の必要性が高まっている。このような状況下において、世界最高強度のパルス中性子源を有しているラザフォード・アップルトン研究所の中性子施設(ISS)との協力研究が1986年より始められた。高エネルギー物理学研究所(現本機構)と英国科学工学会議SERC(現中央研究所審議会CCLRC)との間で中性子散乱に関する協定が結ばれ、1987年より大強度かつ高分解能チョッパー型中性子分光器MARIの建設を行った。MARIを用いて行った研究成果のレベルは非常に高く、予想外の新発見も得られて、世界的に高い評価を得ている。
1996年12月に10年間にわたる協力事業は終了したが、MARIによってはじめて可能になった単結晶試料による励起状態の研究をさらに発展させるため、MARIの約30倍の計数効率を持つ単結晶用高性能チョッパー型中性子分光器(MAPS)を日英両国で共同建設し、かつ、共同研究を実施する新たな協力事業が1997年4月より開始された。これは、(1)高温超伝導機構の解明、(2)生体高分子の構造と運動の形態の解明、(3)非晶体(液体、高分子、磁性)の構造と運動の形態の解明など、既存の中性子源では研究が困難な分野の研究を促進し、これまで世界第一線の研究成果を挙げてきた我が国の中性子散乱研究のより一層の進展を図り、今後も世界の最先端を行く優れた研究活動を維持しようとするものである。




研究者にインタビュー
素粒子原子核の研究って何?
物質構造科学の研究って何?
加速器とは?・・・VRML
ごあいさつ

物質科学そして物質構造科学
物質科学そして物質構造科学−構造と現象
放射光研究施設−光と物質科学
放射光研究施設−研究分野
放射光研究施設
放射光研究施設−軌道秩序の直接的観測
蛍光X線/単色X線
中間子科学研究施設
日英中性子散乱研究協力事業
ミュオンによる広域中間子科学の研究

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