共同利用大型計算機システム「KEK 中央計算機システム」運用開始

共通基盤研究施設・計算科学センターは、このたび、共同利用大型計算機システム「KEK中央計算機システム」のシステム構築を完了し、9月1日より正式運用を開始しました。中央計算機システムは、本機構の研究全般を支える計算機システムで、実験データの保存や解析などに利用するデータ解析システムに加え、電子メールシステム、WebシステムなどのITインフラをサポートします。データ解析システム(KEKCC)では、素粒子・原子核実験、放射光実験、中性子実験、加速器開発、理論計算等の本機構の様々な研究に利用されます。特に、Belle II実験やJ-PARC実験でのデータ解析に利用され、実験の遂行に重要な役割を果たしています。本システムは、2020年9月から2024年8月までの4年のリース期間で運用を行っていく予定です。

データ解析システムは、約15,000コアを有する計算サーバと大容量ストレージシステムからなります。ストレージシステムは磁気ディスクシステムとテープシステムから構成されます。磁気ディスクシステムは25.5PB の容量を有し、高速なファイルシステムを提供します。テープシステムは最大100 PBのテープメディアが収容可能であり、ディスクシステムと統合することで、テープ上にある大容量のデータを透過的に扱うことが可能となっています。運用開始当初よりデータ解析システムはフルスペックで稼働し、多くのユーザが利用しています(下図のモニタ)。また、本システムにはグリッドコンピューティングが導入され、世界中のデータセンターと強調して分散計算機環境を運用しています。世界中の計算機資源を利用しながら、国際協力のもとで大型加速器実験のデータ解析が行われています。

マシン室に設置された中央計算機システム (磁気ディスクシステム)
データ解析システムのモニタリング。計算サーバでのジョブ実行やストレージシステムの性能をモニタしている。