KEKウインターサイエンスキャンプが開催されました。
2023年12月25日から28日にかけてKEKウインターサイエンスキャンプが開催されました。このサイエンスキャンプは、理科系の高校生に3泊4日の研究者生活を体験してもらうイベントです。
キャンプでは4つのコースに分かれて実習を行いますが、そのうちDコース「放射線を知ろう」の実習を共通基盤研究施設が受け持っています。今年のキャンプ校長は加速器研究施設の植木竜一 准教授が務めました。また、Dコースの講師は放射線科学センターの坂木泰仁 助教、そして計算科学センターの真鍋篤 教授が担当し、参加者は全国から集まった6名でした。
今年は、コンプトン散乱に着目してそのミクロ現象の理解を通して662keVの光子から見た「みかけの電子半径」を実験的に求め、得られた知見を放射線防護に役立てるという内容で実習を行いました。放射線実験は測定量に対して散乱や環境放射線などの寄与を差し引くことが必要な場合が多い一方で、目に見えない現象を正しく評価することに難しさがあります。高校生達はトライ&エラーを繰り返しつつ、最善手と思われる測定方法に自ら辿り着きました。測定結果の定式化に関する数学的な考察も積極的に行っていました。
制作した測定体系でデータを取得および解析し、得られた物理量に対して考察しました。非常に密なスケジュールの中、オリジナルの遮蔽体の制作や、他のコースの人たちとの交流を楽しむ姿が非常に印象的でした。
データ解析やオリジナル遮蔽体の制作を行う風景
まさに研究活動を体験し、納得できる結果を取得し、そしてプレゼンでその活動内容を伝えることができたことは今後の自信となり将来の進路選択にも参考になったと思います。KEK共通基盤研究施設はこのような教育活動を通じて次世代の後継者育成にも貢献しています。