日本の国会議員、新体制のもとでILCを推進

ILC ニュースライン

ILCニュースライン6月26日号の翻訳記事です

日本の国際リニアコライダー(ILC)推進議員連盟は4月27日、日本の政治の中心地である永田町で総会を開催した。この会議には、国会議員、政府関係者、科学者、業界関係者が出席しており、その重要性を表している。この議連の設立は、2006年に自由民主党の議員によって設立されたことにさかのぼる。その後、2008年に超党派の組織となり、以来、日本におけるILCプロジェクトの実現に向けたさまざまな取り組みを積極的に進めている。

2022年2月に議連会長に就任した塩谷立衆議院議員は「この議連は、我が国の科学を発展させ世界をリードするために、国際的な研究拠点ILCをぜひ日本に誘致しようということを目的に設立されました。この目的達成には困難な道のりがあります。新型コロナやウクライナ情勢は、多くの国際的プロジェクトに大きな影響を与えています。しかし、ここに来て世界の研究コミュニティのILCに対する活動が活発化しています。これは明るい材料です」と述べた。

昨年の議連決議を受け、今年度、KEKの加速器研究開発予算が大幅に増額された。塩谷氏は「現政権は、科学技術イノベーションが将来の国家・社会の成長・発展に大きく寄与するものと考えています。この目標を達成するため、ILCの日本への誘致に向け、皆様の継続的かつ熱意あるご支援をお願いします」と開会の辞を結んだ。

研究者を代表して、東京大学教授でILC-Japanのスポークスパーソンである浅井祥仁氏が挨拶を行い「今回の予算増額により、重要な技術開発に取り組む世界の研究所のネットワークであるILC Technology Networkを構築していこうと考えています」と述べた。ILC-Japanとは、日本の高エネルギー物理学者によるILC推進団体である。

基調講演として、KEKの山内正則機構長が、ILCをめぐる最新状況を説明するプレゼンテーションを行った。ILCで行われる科学的研究、ILCの仕組みといった基本的な情報に加え、素粒子物理学研究の世界的な動向、技術開発計画、研究者の間で行われている世界的な議論などが紹介された。

この会議中に新たな決議が採択され、会議後、永岡桂子文部科学大臣と高市早苗内閣府特命担当大臣に決議文が手渡された。

塩谷氏は「本日は、ILCの現状をしっかり皆さんと共有させていただけたと考えています。改めて目標達成に向けて皆さんの協力をお願いしたい」と述べ、会議を締め括った。

決議の要旨は以下の通り:

  • アジア初の大型国際科学拠点の形成となるILC計画の日本誘致に向け、関係者の連携の下、活動を推進する
  • ILC計画は1国のみで実現することはできず、国際協力が不可欠なことから、政府は上記活動を推進する研究者と緊密に連携を図るとともに、関係国政府との意見交換を行うこと
  • ILC計画の推進につながる次世代加速器技術開発を適切な国際協力の下で着実に推進するとともに、そのために必要な予算を確実に確保していくこと