ILCの物理学 ヒッグス粒子④

ILCの物理学

©️ ひっぐすたん
ILCで2つのヒッグス粒子が同時に生成される素粒子反応

標準理論によれば同時に2つのニュートリノも生成される

ILCの研究で最も重要なテーマのひとつである「ヒッグス粒子」。宇宙に存在する物質は「質量」という固有の量を持っています。ヒッグス粒子は宇宙全体の素粒子の質量を生み出す仕組みの鍵を握っています。

質量を生み出す仕組みの解明には「ヒッグス粒子がヒッグス粒子自身にも働きかける」という性質(ヒッグス自己結合)を詳しく調べる必要があります。そのためにはヒッグス粒子を2つ同時に生成できるエネルギーの加速器が必要です。現時点で検討されているILCの設計では残念ながらエネルギーが足りません。しかし、線形加速器は長さを伸ばすことでエネルギーの増強が可能です。この特性を活かして将来的にILCでのヒッグス自己結合の研究を視野に入れています。
 
円形の加速器はトンネルの周長を長くすることが難しいため衝突エネルギーの変更は容易ではありません。エネルギー拡張性はILCの大きなメリットだといえるでしょう。