KEKキャラバン、5月は広島、東京、熊本へ派遣

 
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広島大学付属高等学校での講義の様子。講師をつとめたのは、素粒子原子核研究所の橋本省二教授

5月10日(火)、広島大学付属高等学校でKEKキャラバンによる出前授業を行いました。1年生240名を対象に、素粒子と宇宙の成り立ちについての講演を行いました。「真空は、そして宇宙はどうしてこうなっているのか」と題した講演では、物質の究極である素粒子と、宇宙の始まりについて、人類はどこまで理解していて、何が理解できていないのかを紹介しました。また、素粒子の探求に加速器が果たした役割についても説明しました。

講演が終了した後に生徒が残り、質問を待つ列が長く連なりました。アンケートでは、「真空とは何もないところではなく、最もエネルギーが小さいところであるというのが印象的でした」「真空の中には何もないと思っていたのに、実際は何かがあるのだと知ってとても驚いた」などと、真空についての認識を新たにしたといった声が多く聞かれました。

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千石カフェでのサイエンスカフェの様子。講師をつとめたのは、素粒子原子核研究所の大森恒彦講師と藤本順平研究機関講師


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熊本県高等学校教育研究会理化部会でのキャラバンの講義。講師をつとめたのは、素粒子原子核研究所の坪山透講師

5月15日(日)には、東京都文京区にある千石カフェでKEKキャラバンによる出前授業を行いました。このカフェはこれまでに多くのサイエンスカフェが実施されており、昨年もKEKキャラバンを実施した場所です。残念ながら5月いっぱいをもって閉店することになったため「千石カフェ ファイナル」というタイトルでサイエンスカフェを行い、およそ20名が集まりました。今回は2名の研究者が参加。「最前線の研究者の生の考えが聞けたのが、楽しかった」「先生たちの掛け合いに研究への情熱を感じた」との感想が寄せられました。

5月18日(水)には、熊本市、水前寺共済会館にて開かれた、熊本県高等学校教育研究会理化部会で講演を行いました。熊本県内の高等学校の物理と化学の教師のほか、熊本県の教育関係者、およそ100名を対象に、小林益川理論とKEKのBファクトリー実験の講演を行いました。

KEKの紹介が行われた後、「物理学の目的」「素粒子実験の手法」についての概説を行いました。次いで、宇宙と素粒子のスケールが示され、「物質に満ちた宇宙を作るためにはCP不変性が必要。小林益川理論はすばらしいが、それが正しいことは実験的な証明が必要だった」ことの解説を行いました。最後に、KEKでは、施設見学、サイエンスウインターキャンプ、Belle Plusなど、多数の訪問の機会があることについての紹介もありました。

実施後のアンケートでは、「この話を生徒に伝えるときにどうやって例えようかなど考えながら聞くことができた」、また、「自分の学校でもKEKキャラバンの実施を検討したい」といった感想が寄せられました。

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。詳しくはKEKキャラバンをご覧ください。

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