太陽のような水素を主な燃料として核燃焼をしている恒星は主系列星と呼ばれ、水素が燃えつきヘリウムやさらに重い元素が燃料になって核融合反応が進行している星は通常巨星として観測されます。核融合反応の際には、ニュートリノが放出されており、太陽ニュートリノはSuper-KAMIOKANDE等の地下実験施設で実際に観測されています。また、太陽のように軽い星は核燃焼が終わると白色矮星となり徐々に冷えていくと考えられています。たまたま太陽は単独で存在していますが、星の多くは連星系をなしていて、連星系の中で白色矮星が生まれると、相手の星からの質量降着によって新星やIa型の超新星爆発などの現象を起こすことも知られています。一方、重い星は最も安定な鉄を合成するところまで進化した後、コアが重力崩壊して超新星爆発を起します。この時、ニュートリノが放出され、超新星残骸の中心には中性子星あるいはブラックホールが形成されます。これらの中性子星やブラックホールは、パルサーやX線天体として観測されています。中性子星同志の連星系も存在し、このような系は重力波を放出しながら徐々に接近し最終的には衝突してしまいます。その際、強い重力波バーストが放出されるので、重力波観測の最初の観測対象として有望視されているものです。また、ガンマ線バーストの起源としても、遠方の銀河における中性子星やブラックホールの衝突などが候補としてあがっています。

一方、星風によって星の内部で合成された元素が回りに拡散する他、超新星爆発の際には、星の進化の途中で合成された重元素が回りにまき散らされるとともに、爆発に伴う激しい元素合成も進行します。これらの元素と宇宙初期に合成された軽元素が太陽系や地球ひいては我々の体を構成しているのです。

ところで、地球にはいろいろなエネルギーの様々な原子核が降り注いでいることが知られており、高エネルギーのガンマ線などとあわせて宇宙線と呼ばれています。超新星爆発で原子核が加速されたとして、大部分の宇宙線の起源が説明できますが、非常に高エネルギーの宇宙線や最近観測が進んだ低エネルギーの反陽子の起源は別に考えなければならないようです。





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