星が星間物質のガスを集めて、次第にその質量が増大すると、その重力によって、星の内部が高密度で高温高圧になり、まず水素と水素とからヘリウムを生成する核融合が点火して星が誕生します。誕生した星は、その質量によって異なる寿命の間、水素の核融合反応で、光り続けます。その後は、燃料となる水素が無くなると、今度は核融合反応で出来たへリウム同士が核融合を起して、炭素を生成します。その次はネオン、酸素、シリコンというように、次々と核融合反応を繰り返し、最後は最も安定な原子核である鉄のコアができるまで、核融合反応が繰り返されます。これ以上は核融合は進展しませんが、大量の質量のため、重力による収縮が急速に進みます。
この過程で、原子と原子が押されて超高密度状態となり、原子核の回りにある電子が原子核の陽子に捕獲され、陽子が中性子になる反応が進み、中性子過剰の原子核がつくられます。さらに収縮すると原子核が溶解して、中性子、陽子、電子などから成る流体の状態となります。このように、星の内部の鉄のコア部分が中心に向かって急激な重力崩壊を起し、重力エネルギ−が解放され、コアの回りの物質を吹き飛ばす爆発が起こります。これが超新星爆発であり、星の進化の最後にあたります。爆発の後には、元の星の質量に依りますが、中性子星やブラックホ−ルが残がいとして残り、周りの物質は宇宙空間に放出され、また、別の星を作る材料物質となるのです。また、この爆発の瞬間に、種々の反応によって大量のニュ−トリノが放出されます。超新星爆発は、天体望遠鏡による光での観測とともに、このニュ−トリノが実際に観測されたのは、1987年2月23日の大マゼラン星雲の中の超新星1987Aが初めてでした。岐阜県神岡にある東京大学の宇宙線研究所の施設:カミオカンデがその観測に成功し、世界から注目されました。
 超新星は、歴史的にも記録されています。1054年の夏の超新星は、古い中国の記録や日本の藤原定家の明月記にも記されています。出現して、20日間は昼間でも見えたとされています。その残がいは現在でもかに星雲(M1)として、見えています。

1987年2月23日に大マゼラン星雲に現れた超新星(右上の明るい星)




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