宇宙線とは「宇宙空間に存在する高エネルギ−の放射線」のことです。宇宙線に関する研究は幅が広く、その起源、エネルギ−、種類などを調べることは、宇宙そのものを研究することに繋がっています。私達が地球上で観測したり、日常浴びている宇宙線は宇宙空間から飛来する多種多様な放射線粒子が地球の大気や、地球の地殻と相互作用した結果の粒子です。天空からやって来る宇宙線(一次宇宙線)は、まず上層の大気にぶつかり、空気中の窒素や酸素の原子核に衝突し、陽子、中性子、パイ中間子、ミュ−粒子など多数の二次粒子(二次宇宙線)を発生させます。この粒子がまた、大気の窒素や酸素の原子核と次々と衝突し、多数の粒子を発生させ、エネルギ−の高い一次宇宙線ほど、多数の二次粒子を発生させます。
この様子が、図1に示してあります。こうして、地上に到達する多数の放射線粒子は、はがきの大きさの面積に、毎秒1個程度の割合で、常に降り注いでいます。私たちの体には、おおよそ、毎秒100個位の宇宙線が貫通していると言えます。
加速器が発展する以前の時代には、この宇宙線が、高いエネルギ−の素粒子反応を研究する手段でありましたが、今日では、超高エネルギ−の粒子を加速器から得られるようになったため、そのような研究はあまり行われなくなりました。それよりも、宇宙線自身の研究が、宇宙物理との関連で、幅広い研究分野と関わりをもって研究されています。
|