トリスタン計画報告書TOP
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1. はじめに 1.1 トリスタン計画までの状況 1960 年代に低迷したかに見えた素粒子物理学は、 70 年代になって理論・実験の両面で急速に進展し、
この時期の大きな進展は、高エネルギー物理学の新たな研究方向を明瞭に示していた。 1)クォーク・レプトンの世代構造の確立、 2)ゲージボゾンとその性質に代表される 相互作用の内容の確立である。一方、標準モデルでは、多くの物理量がまだパラメーターとして扱われており、 3)モデルがカバーしていない未知の物理法則の兆候を探索することも、不可欠な方向だと意識された。 70年代の素粒子物理学の発展には、ビーム衝突型加速器(コライダー)が非常に大きな役割を果たした。粒子の有効反応エネルギーを格段に高め、真の素粒子同士の反応をあらわに観測することを可能にしたためであり、また質量の大きな素粒子の人工生成を可能にしたからである。上記の新たな研究方向に進むためには、コライダー実験の拡張必要なのは明らかであった。従って 70 年代後半には、トップクォークや W/Z ボゾンなどの具体的な目標をかかげ、世界各地でコライダーが建設された。ドイツで電子・陽電子コライダー(PETRA)が建設され、アメリカでも電子・陽電子コライダー(PEP)が後を追った。またジュネーブのヨーロッパ原子核研究所(CERN)では、陽子・反陽子コライダー(SS)の建設が始まっていた。 |
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