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トリスタン計画報告書TOP
 高エネルギー物理学研究所長挨拶
 高エネルギー委員会委員長挨拶
 1. は じ め に
 トリスタン計画までの状況
トリスタン計画の経緯
 2. トリスタン計画の概要
 3. 研 究 成 果
 4. トリスタンと加速器科学
 5. 周辺分野との関わり
 6. ま と め
 List of Figures
 List of Tables
 グラビア写真集
 
1. はじめに

1.1 トリスタン計画までの状況


1960 年代に低迷したかに見えた素粒子物理学は、 70 年代になって理論・実験の両面で急速に進展し、
  • 物質の基本粒子はクオークとレプトンである、
  • ゲージ相互作用により粒子間に力が作用する、
  • そのうち電磁相互作用と弱い相互作用は起源を一にする、
という描像が有力になり、「標準モデル」と呼ばれる体系にまとまりつつあった。その中で小林・益川(1973)は、K中間子の崩壊に見えたCP対称性の破れを説明するため、3世代のクォークの存在を提唱した。この考えは、70 年代の一連の新粒子(チャームクォーク、ボトムクォーク、タウ粒子)の発見に裏うちされ、素粒子の標準モデルの重要な構成要素になった。

この時期の大きな進展は、高エネルギー物理学の新たな研究方向を明瞭に示していた。
1)クォーク・レプトンの世代構造の確立、
2)ゲージボゾンとその性質に代表される
相互作用の内容の確立である。一方、標準モデルでは、多くの物理量がまだパラメーターとして扱われており、
3)モデルがカバーしていない未知の物理法則の兆候を探索することも、不可欠な方向だと意識された。

70年代の素粒子物理学の発展には、ビーム衝突型加速器(コライダー)が非常に大きな役割を果たした。粒子の有効反応エネルギーを格段に高め、真の素粒子同士の反応をあらわに観測することを可能にしたためであり、また質量の大きな素粒子の人工生成を可能にしたからである。上記の新たな研究方向に進むためには、コライダー実験の拡張必要なのは明らかであった。従って 70 年代後半には、トップクォークや W/Z ボゾンなどの具体的な目標をかかげ、世界各地でコライダーが建設された。ドイツで電子・陽電子コライダー(PETRA)が建設され、アメリカでも電子・陽電子コライダー(PEP)が後を追った。またジュネーブのヨーロッパ原子核研究所(CERN)では、陽子・反陽子コライダー(SS)の建設が始まっていた。


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