機械工学センター今月の逸品:液体窒素デュワー内での試料保管用アダプタ

図1 L字アダプタ吊り下げ治具
図2 L字アダプタ
図3 液体窒素デュワー内にセットした状態

物質構造科学研究所の放射光実験施設には、5本のタンパク質結晶構造解析ビームラインがあり、ユーザー実験が行われています。これらのビームラインには試料交換ロボットが設置されており、PCからの指令で自動的に試料(タンパク質結晶)を交換することができるようになっています。試料は宅配便等でKEKに送る必要があります。試料はユニパックと呼んでいる容器に入って送られてきます。これをロボットにセットするときには、L字アダプタ(図2)に入れますが、図3のようにL字アダプタに入れた状態で液体窒素デュワー内で保管しておくことで、次々に入れ替わるユーザーの実験に対応するようにしています。

コロナ禍でもユーザーはリモート実験を行うことができますが、大量の試料がKEKに届くようになりました。そこで、より多くの試料を液体窒素デュワー内で保管しておくことができるように、L字アダプタの数を増やしたため、それを保管するためのL字アダプタ吊り下げ治具40個の製作依頼が来ました。図1は製作した治具の一部の写真です。治具は軽量化のためにアルミニウムで製作しましたが、熱侵入を押さえるために、軸の一部の緑色の部分にガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を用いています。