第26回「環境放射能」研究会が開催されました
3月12~14日に放射線科学センターと日本放射化学会アルファ放射体環境放射能部会の主催により、第26回「環境放射能」研究会が小林ホールで開催されました。本研究会は、1999年のJCO臨界事故を契機として2000年にスタートした研究会で、1)自然環境放射能、 2)放射線・原子力施設環境放射能、を基本テーマに毎年3月にKEKで開催されてきました。2012年以降は、3)東京電力福島第一原子力発電所事故 をテーマに追加し、同事故関係の環境放射能・放射線測定に携わる研究者や技術者、自治体関係者、一般市民など様々な立場の参加者が集まる情報交換の場となっています。
第26回「環境放射能」研究会では、依頼講演2件、一般口頭発表19件、ポスター発表28件が行われ、現地会場での参加107名、オンライン視聴29名の参加をいただきました。依頼講演としては、福島第一原子力発電所の廃炉作業の一環として多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出が2023年8月から開始された状況を踏まえ、同処理水の海洋放出に関わる放射性核種のモニタリング及び海洋拡散シミュレーションについての2件の講演をいただきました。口頭発表及びポスター発表では、時間が足りなくなるほどの活発な質疑が行われ、休憩時間や懇親会でも多くの交流が図られ、有意義な研究会となりました。学部学生、大学院生による4件の優れた発表に対し、研究会奨励賞が授与されました。
本研究会では、研究会後に、査読付きのプロシーディングス論文集をKEK出版物として発行しており、第26回研究会についても10月ごろに発行の予定です。同プロシーディングス論文集には、福島第一原子力発電所事故後の放射性核種の環境中での挙動に関わる調査結果など多くの貴重な研究成果が報告され、IAEAのレポートや学術論文にも多く引用されています。2013年以降のプロシーディングス論文集、「東京電力福島第一原子力発電所事故以降の5年間における環境放射能研究のとりまとめ -「環境放射能」研究会における発表を中心に」(2016年発行)などの関連情報を研究会ホームページからご覧いただけます。
