KEKのATF、垂直方向ビームサイズ100nm以下を達成

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リニアコライダーの最終収束技術の実証実験を行っている、KEKの先端加速器試験施設(ATF)のATF2ビームラインの収束点において、垂直方向のビームサイズが70nm(ナノメートル)※程度まで絞られていることが確認された。

 

ILCで要求されるビームサイズは垂直方向が5nm。ATFとILCはビームのエネルギーが異なるため、ATFで35nmを達成することが、ILCの性能要求を満たすことに相当する。目標達成に向けた開発研究が精力的に行われており、今回の成果は、ILCの実現に向けた大きな一歩と言うことができる。

 

ATFでは、昨年秋から合計7週間の運転を実施。特に12月にはATF2ビーム収束実験のみに専念した連続運転を2週間行い、21日に、極めて小さいビームが観測された。

 

ATF2beamline

ATF2ビームライン

ビームサイズは、「新竹モニター」と呼ばれる装置で2本に分けたレーザービームを交差させてできる干渉縞と電子ビームのコンプトン散乱を利用して測定する。今回の実験では、交差角174度で、ビームサイズ約70nmに相当するビームが観測された。系統誤差などの詳細な評価は今後行われるが、系統誤差は、通常ビームサイズを大きく評価してしまう側に働くため、100nmよりも小さいビームが生成・測定されたことは確実と見られている。

 

また、同様の状態を約7時間にわたって維持することもできており、システム全体の安定性も示された。

 

ATF2は計画の段階から国際的な共同実験として進められている。12月の実験でも海外から合計17名の研究者が積極的に参加して実験の進展に貢献。今回の結果は国際協力の成果を示すものでもある。

 

※1ナノメートルは1メートルの10億分の1