今こそILCのもとに団結しよう

ILC ニュースライン

※この記事は2021年7月27日に発行されたILC NewsLineの翻訳記事です。

アジア合衆国もAU(アジア版EU)もありませんし、そのような連合ができる可能性もありません。しかし、アジア諸国は国際的な活動を活発に行っており、アジアの科学者は国際的な科学の最前線に立ち続けています。

アジアにCERNに相当する施設ができる見込みはありません。しかし、日本や中国、さらにはインドや韓国の国立素粒子物理学施設は、世界レベルの能力と成果を達成しています。

ILC(国際リニアコライダー)によって、アジアは今後数十年のうちに最も重要な世界的コライダーをホストする機会を得ました。このような施設を設置することは、アジアの経済力に見合った科学的メッセージとなるでしょう。

ILCは一国の施設ではありません。課題は、国際的な高エネルギー物理学コミュニティが、科学コミュニティ内で、また、各国政府を通じて、次の大きなマシーンを推し進めていくことです。

アジアの大規模なグループは、それぞれの国で共同研究を行ってきましたが、重要なのは、欧州のCERNやDESY、米国のフェルミ国立加速器研究所、SLAC国立加速器研究所、ブルックヘブン国立研究所などの大規模実験で共同研究していることです。日本のKEKB/SuperKEKBやK2K/T2K/T2H(長基線ニュートリノ実験)、中国のBEPCなどの主要施設には、海外から多くの研究者が参加しています。中国CEPCなどの主要施設は1980年代に米中間の正式かつ重要なプログラムから生まれたものです。

国際共同研究のメリットは多岐にわたります。科学に牽引され、技術の進歩や産業利用、世界各地の若い研究者との経験や文化の共有、政府間の交流や協力など、関連する多くの利点があり、高エネルギー物理学には協力と発展の誇らしい歴史があります。

産業界への貢献

素粒子物理学における国家間の協力関係は、政治的・戦略的な緊張関係の中にあっても、国連をはじめとする世界各国で賞賛されています。ILCは、高エネルギー物理学において、このような国際的な協力とパートナーシップを促進するための機会となります。

アジアの国々にとって、国際的なILCは私たちの”裏庭”です。

このユニークな機会を、今後数十年の間に科学と社会のために現実のものとすることができるでしょうか?答えはイエスです。ただし、私たちが今、ILCのもと団結し、そのユニークな利点をすべての政府に納得させることができれば、です。

IDT国際推進チームアジア州代表/メルボルン大学 ジェフリー・テイラー 

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