加速器図鑑 ➋クライオモジュール

加速器図鑑

KEKの超伝導リニアック試験施設(STF)のクライオモジュール

ILCでは、電子と陽電子のビームを衝突させて実験します。それらの衝突実験を可能にするのが高性能の超伝導線形加速器です。「クライオモジュール」とは線形加速器システムを構成する最小単位で、1台の大きさは、長さ12メートル、 直径 1 メートル。ILCでは電子の線形加速器と陽電子の線形加速器が対向する形で設置され、全部で約800台のクライオモジュールで構成されます。
 
クライオモジュールの真空容器は超伝導加速器の心臓部、つまり「加速部」を極低温に保つために使われます。超伝導体である「ニオブ」製の空洞を、絶対零度(-273℃)に近い極低温まで冷やして超伝導状態にし、そこに高周波電力を入力してビームを光速近くまで加速します。 超伝導状態では、電気抵抗がほぼゼロになるため、非常に効率よく高周波電圧をかけ、加速できるのが特徴です。

KEKでは、ILC等の次世代の加速器実現に向けて重要な役割を担う、高性能の超伝導空洞開発と、超伝導加速システムの試験開発を行っています。