「できたてのうちゅうをどうぞ」

宣伝会議賞 AAA賞 ILC ニュースライン

※この記事は2025年6月25日に発行されたILC Newsline IMAGE OF THE WEEKの翻訳記事です。

ILCの新しいキャッチコピーを選定

国際リニアコライダー(ILC)などの先進加速器プロジェクトの推進を目的に、産学官民が連携する組織である先進加速器科学技術推進協議会(AAA)は、ILCへの関心と理解を深める活動の一環として、日本を代表する広告コンペティションのひとつ「第62回宣伝会議賞」に協賛しました。「ILCを日本に誘致したくなるアイデア」をテーマにしたこのコンペには、キャッチフレーズ、ラジオ脚本、テレビCMの企画案など、16,500点を超える応募が集まりました。

AAAのメンバーおよび高エネルギー加速器研究機構(KEK)の研究者による厳正な審査の結果、最優秀作品に選ばれたキャッチフレーズが

「できたてのうちゅうをどうぞ」

です。

この作品は、東京都に本社を置く三和油脂株式会社の社員、石神慎吾氏の考案。石神氏は同じコンペの別作品でグランプリも獲得。最高の栄誉を手にしました。

「コンペに応募するまで、ILCのことはまったく知りませんでした」と石神氏。作品を考えるにあたって、ネットなどでILCについて調べたそうです。

「すごいものなんだなあ!と思いました。それがどうすごいのかを理解するのには苦労しました。正直、まだわかっていません」と振り返ります。

宇宙の謎を解き明かすという壮大な目的が、私たちの日常生活にどんなふうに役立つのか、なかなかイメージできなかったともいいます。「コピーを制作する上ではそれがわかればと思ったのですが、難しかったです。」

ILCがほかの身近な商品とちがい難解なものなので、読む人が自分事として感じられる表現を探すことに注力したそうです。

コンペのテーマは「ILCを日本に誘致したくなるアイデア」。そこで石神氏は、まず「もしILCが自分の近くにできたら、どんな気持ちになるだろう?」と自分に問いかけてみたそうです。その問いが、発想のきっかけになりました。「『スープの冷めない距離』という言葉が頭に浮かび、そこから『できたての宇宙をどうぞ。』が出てきたと思います」

わずか数語で、宇宙の広大さを、まるでスープが家に届くような、身近であたたかいものとして感じさせることに成功した、というわけです。

石神氏は「子供たちや宇宙になじみのない人にも『宇宙をもっと身近に感じてほしい』と思いました。」と言います。そして、ILCが日本に建設されれば「日本に暮らす人が『できたての宇宙』に触れられることを伝えたいと思いました。」と、その思いを込めたと言います。

今後、AAAはこのキャッチフレーズを、さまざまな広報活動に活用していく予定です。

すでに4月下旬、東京で開催された大規模ポップカルチャーイベント「ニコニコ超会議」で、3,500枚のトートバッグに印刷されて初お披露目となり、KEKのブースで配布されました。

石神氏は、「『できたての宇宙をどうぞ。』だけでは伝え切れない部分もあると思うので、そこを補足する文やデザインとセットで活用していただければと思います。別のコピーも必要でしたら書かせていただきます。」今後の展開への協力にも前向きな姿勢を見せています。

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