高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、宇宙の起源の探求・物質や生命の根源の探求を目標に掲げ、研究活動に取り組んでいます。その中で物質構造科学研究所(IMSS)・放射光実験施設(PF)・構造生物学研究センター(SBRC)は「生命の根源の探求」を究極の目標として研究活動を展開しています。
KEKにおける構造生物学研究は、坂部知平先生(1985年から)・若槻壮市先生(2000年から)の下で発展を遂げ、2003年にSBRCが設立されました。2013年1月より千田俊哉教授が新センター長に就任し、新しい体制での研究活動をスタートしました。現在、約40名のメンバーがセンターに在籍し、約半数はビームライン関係、残りの半数は構造生物学的研究に従事しております。
生物は自己増殖・恒常性維持・進化などといった非常に巧妙な仕組みを持つことによって、多様性の獲得や環境への適応を実現しています。こういった、生物が持つ複雑で不思議な仕組みを明らかにするためには、生物の部品の『形』を明らかにした上で様々な研究を行うことが必要不可欠です。部品の形を知らずに研究を進めることは目をつぶって車を組み立てるようなもので、大変な困難を伴うことが予想されます。
しかしながら、細胞を構成する部品(タンパク質・核酸・糖・脂質など)はわずか数ナノメートル(=1ミリメートルの1000分の1の1000分の1)の大きさしかないので、一般の顕微鏡(光学顕微鏡)で形を見ることはできません。細胞を構成する小さな物質の形や、それらが集合して組み上がった様子を明らかにするために、私たちはX線結晶構造解析・X線小角散乱という方法を駆使して研究を進めています。これらの実験を行うためには、
が必要になります。このような背景から当センターでは、構造生物学研究に必要なビームラインの開発・効率的な結晶化技術の開発・独自の構造生物学的研究を進めています。
1971年4月 高エネルギー物理学研究所設立
1985年4月 坂部グループ発足
(グループリーダー:坂部知平元教授)
1997年4月 高エネルギー加速器研究機構発足
2000年5月 構造生物学グループ発足
(グループリーダー:若槻壮市元教授)
2003年5月 構造生物学研究センター発足
(センター長:若槻壮市元教授)
2013年1月 千田俊哉教授が新センター長に就任