構造解析の進展と共に、解析困難な因子が解析対象とされるようになってきました。この際に重要なのは、精製(様々な発現系の利用・大量培養系の構築など)や結晶化(無酸素・スグミル法・自動結晶化システムなど)など、良質なサンプル調製法の確立です。そこに力を入れています。
結晶化プレートへの分注、インキュベータでの保管、ドロップの写真撮影を全自動で行うシステムです。 スケジュールに従って撮影されたドロップの写真はウェブブラウザを通じて全世界から閲覧することが可能です。
タンパク質によって、発現系との相性があるので、大腸菌・酵母・昆虫・ほ乳類細胞など、様々な発現系を取り揃えています。また、共同研究で無細胞発現系も活用しています。
また、結晶化には大量の精製タンパク質が必要で(数mgから数g)、そのためには大量の出発材料を準備することが重要です。現在、およそ100リットルの培養を毎日繰り返すことが可能な実験設備を整えています。
無酸素条件下で結晶化をするといいことがあります。まず、酸化還元反応を止めて反応中間体を結晶化することができます。また、酸化膜の形成を防ぐことができるのでタンパク質をロスしなくて済みます。さらに、酸化膜ができるとせっかく結晶ができても扱いにくく、結晶にX線をあてることが難しくなりますが、無酸素条件下ではこれを防ぐことができます。
また、タンパク質溶液と結晶化溶液を混ぜた後に、すぐ見ることで、沈殿の生滅を観察し、結晶化条件に近い条件を推測することができる手法を開発しています。
さらに、抗凍結剤に多段階に浸すことで結晶の質を改善する手法を開発しています。
精製したタンパク質を物理化学的に分析する手段として、