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トリスタン計画報告書TOP
 高エネルギー物理学研究所長挨拶
 高エネルギー委員会委員長挨拶
 1. は じ め に
 2. トリスタン計画の概要
 3. 研 究 成 果
 4. トリスタンと加速器科学
 トリスタン加速器の性能
加速器技術開発
加速器理学に関する研究
環境に対する影響
 5. 周辺分野との関わり
 6. ま と め
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4. トリスタン計画までの状況

4.4 環境に対する影響


トリスタン加速器は、高エネルギーの電子加速器であるが、
  • 蓄積リングであり、単位時間当たりのビーム損失量が少ない、
  • 将来、陽子ビームを使用する場合にも困らないように、地下深く建設した、
事から、軌道から外れた高エネルギーの電子が、加速器構造体等と反応して生成する制動放射線や中性子が地表に達して、環境に影響を与える事は無いと予想されていた。放射線監視に万全を期するために、実験室内や敷地境界に多数の放射線モニターを配置して監視したが、実際に問題となるような放射線が検出される事はなかった。地下水に対する影響を心配する声があったので、測定用に井戸を作り、運転前からトリチウム濃度の測定を行ってきたが、当然の事ながら変化は見られなかった。

一般区域に対して影響する事ではないが、放射線に関連する事としては、トンネル内で発生する「放射光」による損傷が一番大きい問題であった。当初から、電磁石の損傷対策として偏向電磁石には鉛の遮蔽が設置されていたが、運転開始後その他の部分の遮蔽が不十分である事が明らかになった。放射線安全管理センターと加速器のモニターグループや電磁石グループが協力して線量分布の測定等を実施し、必要な遮蔽増強を行なった。

トンネル内の放射光強度が強いことからからオゾン(O3)や NOx 等が生成し、環境に影響を与える心配があったので、化学安全のグループが加速器運転中のトンネル内における濃度測定を行った。図83図84に示す様に、ビームの蓄積開始と共にオゾン、NOx 濃度が増加し、ビームの停止と共に急激に減少する事が判った。しかし、濃度そのものは運転中の最大値でも環境基準以下であり、環境への影響は無いことが確認された。


  
Figure 83: トリスタン主リング内で観測されたオゾン濃度とビーム電流値の1日の時間変化 Figure 84: トリスタン主リング内で観測されたHNOtex2html_wrap_inline4677を含む酸化窒素(NOx)濃度とビーム電流値の1日の時間変化



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