強相関電子系において複数自由度が同時に秩序化するとき、磁化-電場、電気分極-磁場など共役関係にない外場応答(交差相関)が発現し、単体で高度な機能が実現される。2003年に磁性強誘電体(マルチフェロイクス)とその巨大電気磁気効果が報告されて以来、交差相関物性の研究は飛躍的に広がり、近年では動的な領域まで拡張されている。なかでもTHzからGHz帯は測定技術の発達によって急速に研究が発展しつつあるフロンティアであり、微視的な機構を理解するための構造物性的な研究が求められている。そこで、CMRCプロジェクト「量子ビームを用いた多自由度強相関物質における動的交差相関物性の解明」では、構造物性研究センター(CMRC)で利用可能な放射光、ミュオン、中性子を活用し、複数の自由度が同時に状態を変化させる動的な交差相関特性を解明することを目的として開始した。プロジェクト開始にあたり、現状と今後の展開について議論する。
一方、強相関電子系の物性発現機構の鍵となる電子自由度である電荷・軌道・スピンの秩序状態を調べる有効な実験手法として、軟X線領域での共鳴X線散乱の実験装置の整備が構造物性Gを中心に進められ、成果が上がりつつある。特に軟X線領域の3d遷移金属のL2,3 吸収端(2p→3d遷移)を利用することで直接3d電子状態が観測でき、3d電子の詳細な電子状態やスピン状態を調べる手法として、世界的にも研究・開発が進められているところである。そこでPF研究会として、共鳴軟X線散乱を用いた構造物性研究の現状と、将来に向けた軟X線領域での構造物性研究の展開を議論したい。また、その研究対象は、CMRCプロジェクトとのオーバーラップが大きく、測定手法(共鳴軟X線散乱)と研究対象(強相関物質)の双方の側面から同時に議論を行うことで、今後の研究の更なる発展が期待できる。そこで今回、PF研究会とCMRC研究会の合同でワークショップを開催することとした。
日時:2016年9月20日(火)午後~21日(水)
会場:KEKつくばキャンパス 研究本館小林ホール (KEK交通アクセス, KEKキャンパスマップ)
提案代表者:CMRCプロジェクト プロジェクトリーダー 佐賀山基(KEK物構研)
PF研究会 山﨑裕一(東京大学/理化学研究所)、藤田全基(東北大)
所内世話人:佐賀山基(KEK物構研)、中尾裕則(KEK物構研)
参加費:無料
旅費のサポート:希望者には宿舎予約及び旅費のサポートをさせていただきます。
※なるべく旅費をサポートさせていただきますが、予算の都合により希望に添えない場合もあります。
予めご了承下さい。締切後に旅費の有無についてご連絡させていただきます。
※自宅、 実家、知人宅にお泊りの場合は、宿泊費は支給されません。
※研究会参加の企業にお勤めの方、大学院生、学部学生、つくば在住の方には旅費、宿泊費は支給されません。
但し、講演又はポスター発表をされる企業の方、大学院生の方には支給します。
ポスター発表:ポスターセッションの申込は締め切りました。font>
KEKドミトリー:PFのビームタイム中ではありませんが、他のイベントもあり、バス付きの部屋数は限られております。
希望に添えない場合もありますので、予めご了承下さい。
●シングルバストイレ付き(SB) 2,000円/泊
●シングルバストイレ無し(S) 1,500円/泊
※ドミトリーを利用される場合は共同利用者支援システムにユーザー登録、用務登録が必要となります。
登録方法は締切後にご連絡します。
懇親会:9/20(火)講演終了後に予定しております。奮ってご参加下さい(会費:4000円)。参加申込:9月9日(金)→締め切りました。
参加申込:ウェブ登録は締切ました。この後は、当日、会場にてお申込下さい。
重要な締切:
宿舎予約及び宿舎費のサポートを希望する方の参加申し込み 8月26日(金)→締め切りました。
ポスター発表申し込み 8月26日(金)→締め切りました。
懇親会参加申し込み: 9月9日(金)→締め切りました。
Web参加申し込み: 9月9日(金)→締め切りました。
お問い合わせ:研究会事務局(pf-sec@pfiqst.kek.jp)までご連絡下さい。
9月20日(火) | |
13:00~ | 受付開始 |
共鳴軟X線散乱を用いた構造物性研究の現状と将来1 | |
13:30~14:00 | 共鳴軟X線散乱によるスピンテクスチャの観測 山﨑裕一(東大/理研) |
14:00~14:20 | マルチフェッロイックCu2OSeO3におけるスキルミオン格子の電場制御 岡村嘉大(東大工) |
14:20~14:40 | CrNb3S6 におけるカイラルソリトン格子の特異な磁場応答の観測 本田孝志(KEK物構研) |
14:40~15:10 | 中性子・X線・ミュオン相補利用によるRMn2O5系マルチフェロイクスの磁性・構造研究 木村宏之(東北大多元研) |
15:10~15:30 | Coffee break |
共鳴軟X線散乱を用いた構造物性研究の現状と将来2 | |
15:30~16:00 | 共鳴X線回折による多極子秩序観察と応用 田中良和(理研) |
16:00~16:30 | 時間分解軟X線回折・分光とSPring-8 BL07LSUでの取り組み 和達大樹(東大物性研) |
16:30~17:00 | 共鳴軟X線散乱へ期待すること -量子ビームの相補利用から- 藤田全基(東北大金研) |
17:00~17:30 | 共鳴非弾性X線散乱の理論の現状と実験への期待 遠山貴巳(東理大) |
KEK放射光計画 | |
17:30~18:00 | KEK放射光(KEK-LS)計画の加速器設計 原田健太郎(KEK-PF) |
18:00~18:30 | KEK放射光で期待されるサイエンスの展開 中尾裕則(KEK-PF) |
19:00~ | 懇親会、ポスターセッション |
9月21日(水) | |
多自由度強相関物質における動的交差相関物性 | |
9:00~9:20 | 単結晶X線回折による軌道波動関数測定 坂倉輝俊(東北大多元研) |
9:20~9:40 | スピネル型酸化物MnV2O4におけるスピン軌道混成励起の観測 松浦慧介(東大新領域) |
9:40~10:10 | 逆ファラデー効果による超高速磁化制御 佐藤琢哉(九大理) |
10:10~10:30 | Coffee break |
10:30~11:00 | テラヘルツ帯のエレクトロマグノン共鳴 高橋陽太郎(東大工) |
11:00~11:30 | 偏極中性子非弾性散乱を用いたY型ヘキサフェライトのエレクトロマグノンの研究 中島多朗(理研) |
11:30~12:00 | 多孔性遷移金属錯体集積体におけるリチウムイオン電池を用いた電気的磁性制御 谷口耕治(東北大金研) |
12:00~ | 最後に 佐賀山基(KEK-PF) |
プログラム中の発表時間は「5分の質疑応答時間」も含んでおります。
例えば、30分の講演では、発表時間25分+質疑応答5分となります。
よろしくお願いいたします。
ポスターボードは、横1200×縦1600mmとなります。
基本はA0用紙(横841×縦1189mm)までとお考え下さい。
※ポスターの表示方向は「縦長」が標準となります。
要旨提出期限:9月9日(金)までにpf-sec@pfiqst.kek.jpまでお送り下さい。
フォーマット:テンプレート(WORD)をご利用下さい(A4サイズ 1枚でお願い致します)。
順次当ホームページに掲載させていただきます。
PF研究会では研究会終了後、Proceedingsの発行が義務付けられています。
KEKプレプリント・レポートデータベース(https://www.i-repository.net/il/meta_pub/G0000128Lib)に
登録させていただき、ウェブに掲載されますので、どうぞその点ご承知おき下さい。
講演者の皆様には発表プレゼン資料のご提出をお願い致します。
差し障りのある部分は抜いていただいて結構です。
資料はなるべく会期中に受付にお渡し下さい。
なお、ポスター発表に関しましては、
提出頂いた要旨をProceedingsに採用致しますので、
改めてご提出頂く必要はございません。
更新日
2016-11-24