放射光施設トンネル内の放射線強度を観察可能な1 m級中型ロボットを開発

放射光施設の安全かつより効率的な運転を可能とするために、運転中のトンネル内の放射線の強さを観察可能な1 m級の中型ロボット(RAT-L1)を開発しました(図1)。
本ロボットはPhoton Factory(PF)で運用するために機械工学センターの高巣 晃助教らのグループで開発しました。2024年に運用を行った手のひらサイズの小型ロボット(small-RAT)の開発運用経験を活かして、より長時間安定して線量(強さ)の測定を行えるように大型化を図りました。開発期間の短縮と今後の量産を容易にするために筐体は市販の乗用ラジコンをベースに開発を行っています。ロボットには放射線モニター、CCDカメラ、大容量バッテリーと制御装置が組み込まれており、トンネル外の安全な場所から遠隔で線量の測定を行うことが可能となっています。ロボットの操作とロボットからの線量などのデータの受信は、大規模な実験用機器を運用する分散制御システムのソフトウェア環境であるEPICSを通じて行われます。2025年7月にはKEKフォトンファクトリーの運転休止中のトンネル内を複数回にわたり試験走行を行っており、2025年11月の運転期間中に測定を行いました。本研究成果は8月に加速器学会で発表されました。運転中の放射光施設のトンネル内を移動ロボットで定常的に観察した例は珍しく、今後施設の運転効率化に活用されることが期待されます。

図1 トンネル内を走行するロボットの様子 (a)前面からの様子、(b)背面からの様子、(c)搭載している機器