リニアコライダー・コラボレーション(LCC)は2013年2月に設立され、設立に続く数ヶ月の間には、地域代表、コンセプトグループ代表、及び作業グループで物理・測定器部分に関わる組織ができ始めた。その組織の重要な要素は、物理・測定器部門アソシエイト・ディレクター(現在は私であるが)にその権限行使の際に助言を与える物理・測定器諮問委員会(PDAP)であった。リニアコライダー国際推進委員会が承認しているPDAPの職責は、「PDAPは国際リニアコライダー(ILC)の物理・測定器使用とコンパクト・リニアコライダー(CLIC)との相乗作用を監視し」、また「リニアコライダー測定器と共同研究の実現に向け適切な進捗がなされるように勧告を与える」こととある。その機能はLCC設立以前から存在した国際測定器諮問委員会(IDAG)の機能と同様のものである。 PDAPの機能は物理と測定器開発の取り組みの先導で重要なものと考えられていたため、その議長の選考と選任は初期段階でなされた。物理と測定器使用一般に関わる問題に対するその叡智、リニアコライダーについての幅広く深い知識、それらだけではなく我々の取り組みに対する長年に渡る彼の献身から、ポール・グラニスをPDAP議長として委員会に迎え入れることは私にとってはとても幸せなことであった。彼は過去にはIDAGのメンバーでもあった。
PDAPの構成とその本当の活動の開始にはより時間がかかったし、より難しい作業であった。一つの問題は現在の組織には、LCCに先立つ期間IDAGの評価活動の手引きとなった詳細なベースライン報告書(即ち、国際リニアコライダー技術設計報告書の第4巻)のような明白なベンチマークとなるゴールが無いことである。詳細なベースライン報告書の次にベンチマークとして自然なものは本物の工学設計報告書となろう。しかしながら、そのような報告書はリニアコライダー試験所が設置された後、又は少なくとも近い将来に設置されるということがわかった後で、本当の共同研究作業によって作成されるものであろう。あいにく我々はまだそのような段階にはない。この不確定性に満ちた時期におけるPDAPの具体的職責を明確に定義する方法については、多くの物理・測定器執行委員会の会議で激しい議論が行われた。リソースが少ないこの時点でPDAPが行う重要な評価は生産的なものにはならないであろうという指摘も根強くあった。最近になって初めてPDAPの本質とその評価について我々は合意に至った。
最後には、評価をするものにも評価をされるものにも、評価に大きな作業を要求しないが、それでも物理と測定器使用に役立つ推奨を抽出することはできる「軽量級」の評価委員会を設置することに決めた。このようにして、二人の追加メンバー、ヨーロッパからはサンドロ・パレスチーニ、アジアからは幅淳二が選出された。サンドロはCERN関連の問題に通暁し、IDAGのメンバーでもあった。淳二は測定器の研究開発における国際的に知られた専門家であり、過去にILC測定器研究開発の取り組みを評価した委員会のメンバーであった。ポールはアメリカ大陸出身であり、地域的にも専門分野の面でも彼等はよくバランスが取れている。
最後には、評価をするものにも評価をされるものにも、評価に大きな作業を要求しないが、それでも物理と測定器使用に役立つ推奨を抽出することはできる「軽量級」の評価委員会を設置することに決めた。このようにして、二人の追加メンバー、ヨーロッパからはサンドロ・パレスチーニ、アジアからは幅淳二が選出された。サンドロはCERN関連の問題に通暁し、IDAGのメンバーでもあった。淳二は測定器の研究開発における国際的に知られた専門家であり、過去にILC測定器研究開発の取り組みを評価した委員会のメンバーであった。ポールはアメリカ大陸出身であり、地域的にも専門分野の面でも彼等はよくバランスが取れている。
英文 Hitoshi Yamamoto
[図のキャプション]
ポール・グラニス、物理・測定器諮問委員会(PDAP)議長
幅 淳二、高エネルギー加速器研究機構
サンドロ・パレスチーニ、CERN
イメージ:アトラス実験 © 2015 CERN