ILCの物理学 ヒッグス粒子➁

ILCの物理学

©ひっぐすたん

宇宙の温度が下がったことでヒッグス場の性質が変わり素粒子が質量を持つ

 ILCの研究で最も重要なテ ーマのひとつである「ヒッ グス粒子」。 ヒッグス粒子は「標準理論最後の素粒子」 と呼ばれ、標準理論に含まれる17種類の素粒子の中で、 最後に発見されました。


 「標準理論」とは、多くの現象をうまく説明できる物理理論で「ヒッグス機構」と呼ばれる「粒子に質量を与える仕掛け」を入れると計算が合い、成立します。 この機構は、ヒッグス粒子を産み出す可能性を持つ「場」が私たちの周りに満ち満ちており、プールに入ると水の抵抗で動きにくくなるように、ヒッグス場の中の物質は動きにくくなる、つまり、質量を持つようになる、という考え方です。 ヒッグス粒子が発見されることで、初めてそこに場が存在することがわかったというわけです。


 その存在が明らかになった「ヒッグス場」ですが、まだその実態は謎のままです。次回は、ILCでヒッグス粒 子を調べることで明らかになることが期待される、素粒 子物理の課題についてご説明します。