電子と陽電子の衝突の結果、見えない粒子が生成されたことがわかる ©ひっぐすたん
この宇宙の95%は私たちがまだ知らない成分でできていることがわかっています。正体不明なことから「ダークマター(暗黒物質)」「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼ばれます。これら正体不明の成分が存在することは、宇宙を観測することで解明されました。
加速器実験でも「ダークマター」の解明が試みられています。しかし、加速器を使った実験は、電磁気力を通して素粒子を観測するので、電磁気力と反応しないダークマターを直接見つけることはできません。 しかし、ILCでは間接的にダークマターの観測が可能なのです。
ダークマターは物質なので素粒子であると考えられます。このダークマター粒子の質量が軽い場合、ヒッグス粒子からダークマター粒子に変化する可能性があります。ILCは電子と陽電子という素粒子同士を衝突させるため余計な反応が起きません。エネルギー・運動量の保存則を使うことで、観測できなかった成分、つまりダークマターがあるということがわかるのです。