リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟の会長の与謝野馨経済財政・金融担当大臣(元文部大臣、元通産大臣、前自民党政調会長)と、議員連盟のメンバーの河村建夫衆議院議員(元文部科学大臣、自民党文教制度調査会長、議員連盟幹事長)、森英介衆議院議員(衆議院予算委員会理事、元厚生労働副大臣、議員連盟事務局長)、鈴木俊一衆議院議員(元環境大臣、衆議院文部科学委員会委員、衆議院財務金融委員会委員)、井上信治衆議院議員(衆議院厚生労働委員会委員、衆議院沖縄及び北方問題に対する特別委員、自民党広報局次長)の5名が9月4日に高エネルギー加速器研究機構(KEK)を視察されました。
議員連盟の一行は鈴木機構長からKEKの研究活動全般について概要説明を受けた後、2時間ほどかけてKEK内の施設を視察されました。
最初に訪れたのは、最先端の素粒子の研究を行っているKEKB加速器と物質・生命の研究に用いられる放射光リングに大量の電子や陽電子を入射するための直線加速器です。長さは500m、リニアコライダー(LC)と比べたら80分の1程度しかありませんが、それでも世界で2番目に長い直線加速器です。たった500mのトンネルでも地球表面の丸さによって真っ直ぐなビームと2cmもずれてしまうという榎本教授の説明に議員の皆さんは感心されたご様子でした。LCでは超伝導の加速装置を使います。制御室前のロビーでは、超伝導加速器の要であり世界最高の加速性能をもつ超伝導加速空洞(通称イチロー空洞)を見学されました。
KEKB加速器は世界最高輝度を誇る電子と陽電子のコライダーです。大強度の電子と陽電子の衝突によって作り出されるB中間子とその反粒子である反B中間子の性質を調べ、宇宙から反物質が消えた謎について研究しています。一行は赤井教授の説明に耳を傾けながら様々な電磁石や強力な加速装置の並んだ一周3kmのトンネル内を200mほど歩きました。
加速性能と並んでLCの鍵を握るのはビームの絞り込み技術です。虫眼鏡で太陽光線を一点に集めて火をつけたことはありませんか。太陽光線は平行だから光は一点に集まるのです。LCではナノメートルという極めて小さなサイズにビームを絞り込む必要があるため、はじめに平行なビームを作らなければなりません。LCで要求される性能は東京から鹿児島まで飛んでも1mmしか広がらないビームです。一行が最後に見学されたATFという加速器では、LCが必要とする小さくて平行な世界最高のビームを実現しました。国内だけでなく外国からも多くの研究者が機器を持ち込んで実験しています。現場で説明した浦川教授の熱い語り口に一行は納得したご様子でした。
見学終了後、一行は機構長らと懇談しました。実際の加速器を見てリニアコライダーのイメージがつかめた、と議員の方々から感想が述べられました。