ドイツでリニアコライダーの国際会議開催

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ハンブルクは、ドイツの北西部に位置する、人口170万人のドイツ第二の大都市にしてドイツ最大の港湾都市です。エルベ川と支流のアルスター川が市内を流れ、アルスター湖を抱く水の都であり、古くから商業で栄え、中世においてはハンザ同盟の主要メンバーでした。

 

5月30日-6月3日に、ハンブルクにあるドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)に、世界中から30ヶ国、600人を越える測定器と加速器の専門家達が集まりました。国際リニアコライダー会議2007(ILC2007)とリニアコライダーワークショップ(LCWS07)という2つの会議が並行して開催され、日本からもおよそ50名が参加しました。

 

ILC2007 ~工学設計書の作成に向けて~
ILC2007とは、加速器の研究者達が集まる国際共同設計チーム(GDE)の全体会合のことです。今年2月にドラフト版の基準設計報告書(RDR)が公表されたことを受け、現在は次のステップである工学設計書(EDR)の完成を目指しています。RDRでは概要を説明するに留まった設計書の詳細をつめるとともに、国際的なILCコミュニティのさらなる成長を促して、世界的な研究開発プログラムを発展させるということが、EDR作成の目的として挙げられています。GDEは2010年を目標に、技術開発、設計内容、プロジェクトのコストについての研究を深め、また、建設計画の総合的プランを立案します。
また、GDEの組織内に新たに「プロジェクト・マネージャー」を設けることになり、アジア、北米、ヨーロッパの各地域より1名ずつが選出されました。アジアからは山本明氏(KEK)が指名され、技術的システムのプロジェクト管理を担当します。

 

LCWS07 ~実験提案への道筋~
測定器と物理学のコミュニティが集まる会合がLCWS07です。コミュニティでは、加速器建設と測定器建設を同時に進められるよう、詳細なスケジュールの調整が進められています。
現在ILCには、4つの測定器コンセプトがあります。この統合を進めることについても議論がなされました。研究者が提案する趣意書が提出され、承認を受けると、測定器工学設計に向けての活動が始まることになります。
また、今回の会議では物理と測定器研究を統括するリサーチディレクター(物理研究責任者)を新設することが決定され、国際リニアコライダー運営委員会のもとに加速器を統括するGDEディレクターとリサーチディレクターが並行して計画を進めることになります。これにより、加速器と物理測定器コミュニティの間で、より直接的なコミュニケーションを進めていきます。