日米協力を進める会合をワシントンで開催

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国際リニアコライダー(ILC) は、その名のとおり国際協力で行うことが必須となる大型科学プロジェクトです。その実現に向けた日米協力が大きく展開しています。

2 月11 日(木)、米国ワシントンDC の米国議会下院議員会館で、第一回日米議員先端科学技術フォーラムが開催されました。日本側からは、リニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟の塩谷立幹事長、鈴木俊一副会長、事務局次長の大塚拓氏、岸輝雄外務省科学技術顧問、文部科学省の生川浩史大臣官房審議官のほか、研究者、産業界、自治体関係者等約50 名が参加しました。日本側からは3名の議員からの発表に加え、河村建夫議連会長、中曽根弘文日米議連会長、小坂憲次副会長のメッセージが読み上げられました。当日はあいにく米国議会の投票が長引いたため、予定していた米国議員4名がフォーラムへ参加できなかったものの、ジャパン・コーカス(米国下院議会における米日議連)の共同議長である、チャールズ・ブースタニ、ホアキン・カストロ両下院議員からフォーラムの重要性を確認するメッセージが寄せられ、参加両国の議員がフォーラムを継続的に開き、加速器を含む先端科学技術での日米協力を進めていく方針が示されました。フォーラム開始前には、米国議会日本研究グループの共同議長である、ダイアナ・ディゲット、ビリー・ロング両下院議員との面談が行われ、日米両国の科学技術に関する協力の重要性とフォーラムの継続開催が確認されました。

翌12 日には、米シンクタンクのハドソン研究所において、日本の国会議員、日米の政府関係者と研究者、産業界の代表らによって、ILC に関する日米協力に関する議論が行われました(写真)。米エネルギー省(DOE)パトワ氏からは「米国はILC を共に作りたいと期待している」との発言があり、そのためには、マネジメントの検討が重要であるとの認識が示されました。また、議論の中で、ILC の実現のためには、ILC の波及効果の検討と国民の理解が必要との見解が示されました。

議員一行は、同日、マーク・カーク上院議員とも会談。カーク議員は、フェルミ国立加速器研究所が立地するイリノイ州の代表であることから、素粒子分野に対する造詣も深く、フェルミ研究所の予算増額等にも力を発揮してきた有力議員です。さらに、昨年12 月に就任したばかりのDOE のチェリー・マレー科学局長、ジム・シーグリスト部長(素粒子物理担当主任)らとも会談。宇宙開発、核融合、スパコン、加速器の4分野における大型国際計画での日米協力を連携して進めることが確認されました。ILC に関する議論では、プロジェクト・マネジメント、コストとその低減の可能性、波及効果等の議論を行うことが重要との共通認識に至り、ディスカッショングループの設置が米国側から提案されました。

このディスカッション・グループ設置について、3月4日(金)に東京で行われたリニアコライダー国際研究所建設推進議員連盟の総会で、文部科学省の戸谷文部科学審議官は「DOE とは緊密に協議をしていきたい。具体的な進め方については、今後DOE とよく相談しながら進めていく。米国への担当官の派遣を予定している」として、ILC 計画に向けても体制を強化して適切に対応するとの考えを示しました。

塩谷議員は総会で、今回の訪米の成果として、1) 日米の議員によるフォーラムの開催実現、2)DOE チェリー・マレー局長との会談、3)米国の有力議員のILC に対する理解増進の3点を挙げ、特に、ILCの推進に対して非常に協力的であるカーク上院議員と、DOE の今後一層の協力を期待したいと述べました。鈴木議員は「ILC プロジェクトから出てくる成果は人類で共有することから、国際プロジェクトでやるしかない。それに向けて、まずは日米で枠組みを固めるということが大切。今回の会合は、その日米の枠組みを固めることにおいて大変に効果があった」とまとめました。大塚議員は、日米同盟の重要性と最先端科学と基幹技術の国際協力の枠組みの観点から発言。「技術開発を行う米国の仕組みが理解できた。両国の協力を進めてコアを作ることは大きな意義がある」と述べました。

次回の日米議員先端科学技術フォーラムは、日本で開催される予定です。

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