ILC準備研究所にむけた準備:加速器開発

ILC ニュースライン

※この記事は2021年2月26日に発行されたILC Newslineの翻訳記事です。

2020年夏にILC国際推進チーム(IDT)が設立され、プレラボに向けた加速器の準備を行うワーキンググループ(WG)2の活動が行われています。現在メンバーは40名ほどいます。

プレラボでは、以下の加速器関連の業務を行う予定です。

1. 技術的な準備

2. 最終的な技術設計及び文書化

3. 納品物の準備と企画

4. 土木・基盤

ILC建設に向けて、上記の業務を遂行するための準備をするためには、より多くの人材が必要であり、そのような人材の育成・教育も必要となります。WG2では、「電子・陽電子源」、メインリニアック(ML)を中心とした超伝導高周波(SRF)技術を用いてビームを高エネルギーに加速する「ML/SRF」、ダンピングリング(DR)や衝突点領域を対象とした「DR/BDS/Dump」、「土木・インフラストラクチャ」の4つのサブグループを設けました。

準備期間中に全世界で約120個(ILCの約1%に相当)の超伝導加速空洞を製造し、その性能を評価します。また、アジア、米州、欧州で合計6個のクライオモジュールを製作し、日本まで海上輸送して、性能劣化がないこと、世界的な仕様に沿って製作されていることを確認します。陽電子源の方式は、現在、アンジュレータ方式と電子駆動方式の2つが検討されています。どちらの方式でも、陽電子を発生させるためのターゲットと、陽電子を効率よく集めるための磁気集束システムが検討されており、一部の部品が試作される予定です。なお、陽電子発生方式は準備期間中に絞り込む予定です。

合計18のトピックが提案され、技術準備文書にまとめられました。それぞれのテーマは、IDT執行部が主催する内部レビューで評価されます。準備期間中の取り組みは、各地域や研究所が分担し、それぞれの予算で実施される現物支給となることが予想されます。技術準備書は、予算要求の参考資料として使用することを目的としています。

最終的な設計は、2013 年の技術設計報告書(TDR)をベースに、さらに研究開発の成果を加味して、最終的な技術設計書(EDR)を作成します。また、ILCの建設費は、技術設計報告書に基づいて確認します。

量産に向けての準備や計画は、技術的な準備活動に基づいて各地域で検討されます。

また、北上地域の地質を踏まえた候補地の地下土木計画や、戦略的環境アセスメントの議論のまとめを公開しています。さらに、準備期間中には、その後の事業段階の評価と建設ルートの地質調査が行われる予定です。

ILCは国際的なプロジェクトです。ILCの建設や運用には、世界中の研究者や技術者が関わることになります。技術的な準備や詳細設計を進める中で、ILCの建設を担う人材を育成することが重要です。

ILCコミュニティの研究者たちは、3月に開催される2021 International Workshop on Future Linear Colliders (LCWS2021)の期間中、オンラインでミーティングを行います。そして、ILCに関わる全てのメンバーと共に、私たちのワーキンググループはILC Pre-Labへのスムーズな移行を支援していきます。

道園真一郎(KEK) ILC国際推進チームWG2(加速器・施設)座長

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