一匹狼の素粒子

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※KEK・次世代育成クラウドファンディングのブログに掲載された記事を紹介します。


KEKのクラウドファンディングも、残すところあと1日となりました。あと少しでNEXT GOAL達成できます!皆様のご支援深く感謝いたします。 

数字にまつわるお話の3回目の今日は「1」に関する話題です。一昨日のブログで、素粒子は3世代構造を持っている、というお話をしました。宇宙の仕組みを表す「標準理論」に出てくる素粒子は、似た性質を持つ仲間とグループ分けできるのですが、その中で「たった1つ」だけ、グループに属さない一匹狼な粒子があります。「ヒッグス粒子」です。

素粒子は、スピンと呼ばれる固有の性質を持っています。素粒子のスピンは地球やボールの回転とはちょっと異なるのですが、ざっくりと自転のイメージを持っていただければと思います。標準理論の素粒子は、スピンによって分類することができます。ある量の単位で測った時に、0,1,2,…といった整数倍であるならば「ボソン」、1/2,3/2=1+1/2,5/2=2+1/2…というように、整数から1/2だけずれている粒子は「フェルミオン」に分類されます。しかし、ヒッグス粒子だけはスピンを持っていないのです。つまり1つだけ分類することができない粒子なのです。

それではなぜ、ヒッグス粒子だけが一匹狼なのでしょう?本当の理由はまだわかっていませんが、いろいろな可能性が考えられています。例えば、標準理論を超える理論「超対称性理論」は時空と密接にかかわる理論ですが、この理論では、ヒッグス粒子以外のスピンを持たない粒子がたくさんある、と予言しています。または、ヒッグスにも本当はスピンがあって、4次元時空以外の空間に隠れている、と考える研究者もいます。このような色々な考えのどれが正しいのでしょうか?実験をして確かめないとわかりません。

実は、標準理論で説明できるのは宇宙のわずか5%にすぎません。私たちは、宇宙についてまだほとんど知りません。まだまだ先は長いのです。基礎科学に進む若者たちが、宇宙の理解を将来にわたって深めていってくれることを願ってやみません。

「楽しく基礎科学を学ぶプログラムを提供し、次世代を育成したい」

このプロジェクトは目標金額を達成し、無事成立しました。皆さまの温かいご支援、応援を、誠にありがとうございました。

KEK 楽しく基礎科学を学ぶプログラムを提供し、次世代を育成したい - クラウドファンディング READYFOR
多くの青少年に基礎科学研究への興味を持ってもらいたい!分かりやすく楽しく学ぶためのプロジェクト実施にぜひご支援をお願いします。 - クラウドファンディング READYFOR