※KEK・次世代育成クラウドファンディングのブログに掲載された記事を紹介します。
私たちの実施するクラウドファンディングも残り3日となりました。多くの皆様にご支援いただき心から感謝申し上げます。また温かい応援メッセージには本当に励まされ、多くの方に支えていただいてることを実感しながらここまでくることが出来ました。
KEKでは大型の粒子加速器を使って、さまざまな研究を行っています。そのひとつが素粒子物理学の研究です。素粒子物理学で「3」といえば「3世代構造」が思い浮かびます。
これまでの素粒子物理研究を積み重ね作り上げてきた、宇宙の仕組みを表す理論が「標準理論」です。標準理論には17種類の素粒子が登場するのですが、これら17種類の素粒子を整理していくと、ほとんど同じ性質を持っているのに質量が異なる3種が繰り返す構造になっていることがわかりました。これを「三世代構造」と呼んでいます。
例えば、レプトンという種類の素粒子では、「電子、ミューオン、タウ」の3つと「電子型ニュートリノ 、ミューオン型ニュートリノ 、タウ型ニュートリノ 」の3つが3世代構造を作っています。また、全部で6種類あるクォークという種類の素粒子では、「アップ、チャーム、トップ」の3つと「ダウン、ストレンジ、ボトム」の3つが3世代構造を作っているのです。
2008年、KEKの小林誠特別栄誉教授は故益川敏英博士とともにノーベル物理学賞を受賞しました。その受賞理由は「クォークが自然界に少なくとも3世代以上あることを予言する、対称性の破れの起源の発見」でした。この理論を小林・益川両博士がつくったのは1973年のこと。その後、KEKや米国の研究所で行われた実験で、この理論が正しいことが証明されてノーベル賞につながりました。
では、素粒子はなぜ三世代構造になっているのでしょうか?不思議ですよね。何か理由があるはずです。でも、その理由はまだ解明されていません。今後の研究でその理由がわかれば、ノーベル賞につながる大発見になることは間違いありません!
楽しく基礎科学を学ぶプログラムを提供し、次世代を育成したい
このプロジェクトは目標金額を達成し、無事成立しました。皆さまの温かいご支援、応援を、誠にありがとうございました。