みなさん、こんにちは、 私は、物質構造科学研究所の新井正敏です。
この研究所では、物質を構成する原子の配列や構造を知ることにより、物質の持っている性質を理解しようと研究を行っています。物質の性質はその物質中の原子の種類、またその原子の並び方によって異なってしまいます。例えば、ダイアモンドも、物を燃やした後に残る炭も、同じ炭素という原子から出来ています。片方は光輝く透明なダイヤであり、一方は真っ黒な炭です。原子の並び方一つでこのような大きな違いが出てしまいます。
さて、私が科学に興味を持ったのも原子、つまりアトム、そうです、手塚治の鉄腕アトムというテレビ番組に強く影響されたことも一つです。もう35年近く昔のことですが、このテレビ番組はその後も多くの人々から慕われ、みなさんの中にも知っている人がいるかもしれません。また学校生活では、理科の先生に大変興味をかき立てられました。とにかく学校では理科の時間の実験が大きな楽しみでした。私が将来科学者になりたいと思い始めたのは小学校高学年くらいからだったと思います。当時はやっていたプラモデルを作るのが大変好きでしたが、いつか本物を作ってみたいと考えたりしていました。そしてとうとう中学3年の時、本当の自動車を誰の手も借りずに、友人と二人で作り上げてしまいました。それは二人乗りの物でしたが、完成し、試運転したときには本当に感激しました。(もちろん路上で運転したわけではありませんが。)このとき一生懸命にやれば、こんな事も自分で出来るのだと知りました。このような、少年時代の経験が今の自分を、作り上げた基礎になっていると思います。
さて、今私は、物質内の原子構造を知るために、中性子を利用しています。中性子とは原子の中心にある原子核の中にある電荷を待たない粒子です。ですから、物質の奥深くまで、入り込み、原子構造の情報を教えてくれます。わたしは、物質から出てきた中性子をうまくとらえ、それが持っている情報を知るための装置(中性子分光器といいますが、)を作り研究を行っています。これは、世の中に二つとない自分たちが作り上げた装置です。ですから、その装置から、世界的な研究成果が出せたときが、やはり一番やりがいを感じる時です。ともすると学校では一つの問題には一つの解き方、考え方を教えられてしまっているかもしれません。しかし本当は色々な考え方、解き方がある物です。科学の世界では、他の人と異なる意見、考え方が非常に大切な物と考えられています。新しい進展はこれまでの常識の延長上にないからです。ですから、みなさんも、自分の考え方、自分の独自性を大事にして下さい。これこそが新しい何かを生み出す最も大事なことだからです。




素粒子原子核研究所 藤井 恵介博士
大強度陽子加速器計画推進部 永宮 正治部長
素粒子原子核研究所 石橋 延幸博士
物質構造科学研究所 新井 正敏博士
物質構造科学研究所 五十嵐 教之博士
物質構造科学研究所 林 慶 さん
東京大学物性研究所 原沢 あゆみ さん
加速器研究施設 森 義治博士
高エネルギー加速器研究機構 菅原寛孝前機構長
江崎玲於奈博士
素粒子原子核研究所 山田作衛前所長
物質構造科学研究所 木村 嘉孝前所長

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