水素の同位体(水素、重水素、3重水素)の中にミュオンを導入すると、その原子核同士を引きつけて、ミュオン分子を形作ります。
電子の約200倍というミュオンの重さのため、ミュオン分子の中の2つの原子核は、容易に近づくことができ、核融合が起こります。
その後、ミュオンは自由となり、新たなミュオン分子を形成、核融合反応を繰り返します。
ミュオンは"触媒"として、次々に核融合反応を引き起こしていきます。
その際、核融合反応で発生したアルファ粒子にミュオンが付着したままになり、核融合サイクルが終了してしまうことがあります。
その確率は、エネルギー生産性の上限を決定する重要なパラメーターです。
ミュオン科学研究系では、ミュオンがアルファ粒子に付着したときに放射されるX線を検出することにより、
ミュオンのアルファ粒子付着率を直接測定することに成功しました。その実験で、アルファ粒子付着率が約0.3%であることが判明し、
ミュオン触媒核融合によるエネルギー生産も夢ではないことが明らかになりました。