全ての物質は原子からできていることは広く知られています。その原子は電子と原子核からできていることをご存じの方も多いでしょう。中性子は陽子と一緒に集まって原子核を作っている、さらに小さな粒子です。
中性子は通常単独で存在することはできませんが、原子核が壊れた際に単一の粒子として飛び回ることができます。中性子は電荷がない、小さな磁石として振る舞う、透過力が高い、などの特徴があります(スピードは時速1000~10000km程度です)。
中性子線は光と同じように「波」としての性質をもっていて、その波の周期は原子や分子とほぼ同じ大きさです。この性質を利用すると、中性子が散乱する様子から原子や分子の構造や動きが調べることができます(シャル博士とブロックハウス博士はこの功績で1994年にノーベル物理学賞を受賞しました)。
KEKの中性子科学研究施設(KENS)は、1980年に設立され、中性子を利用して宇宙の成り立ちを調べる基礎研究から、材料の機能を調べる応用研究まで、幅広い分野の研究を行っています。2008年からは東海村のJ-PARCに拠点を移し、最新鋭の装置を用いた研究を行っています。