KENS

水素貯蔵基盤研究グループ

研究内容

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物質中の水素の存在状態の研究は、基礎科学的にも興味あるテーマであるが、水素エネルギー社会の実現のために不可欠な水素貯蔵材料の開発にも重要な意味を持つ。水素貯蔵金属は、水素貯蔵・放出過程において格子間隔に数十%程度の大きな歪みを生じ、また水素原子は貯蔵サイト間を水中の水分子と同程度の拡散定数で動き回っている。本研究グループでは、こうした水素貯蔵材料の水素貯蔵メカニズムの理解のため、通常の結晶構造解析のみならず、ガラスや液体の構造解析手法を取り込み、ランダム性に着目した研究を目指している。高性能かつ先端的水素貯蔵材料開発に必要な基盤研究として、高強度中性子全散乱装置(NOVA)を開発及び建設し、水素貯蔵材料の構造研究を行う。NOVAは、結晶材料のみならず、アモルファス相や液相における原子配列を観測可能な性能を有し、水素吸蔵・放出過程に生じる様々な構造変化を観測可能である。水素原子の位置を観測するためのデバイスや解析手法についても検討・開発を進めている。
平成21年5月より、中性子ビームを用いたコミッショニングを開始している。

○ 広い距離スケールにおける構造を短時間で測定可能
○ 原子レベルでの水素貯蔵・放出プロセスの基礎的理解に有効
○ 非晶質物質(液体・ガラス)から結晶まで様々な物質の構造変化を解析可能
○ 中性子を用いて水素位置の精密測定が可能

NOVAプロジェクト(物構研S型課題)

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図2 素核研・測定器開発室と共同で開発したGEM型中性子モニター。約1ミリの空間分解能を持つ2次元検出器であり、計数率は1 MHzに達する。

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