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last update:05/12/22  

   image 世界物理年とKEK    2005.12.22
 
        〜 2005年を振り返って 〜
 
 
  今年もあと10日ですね。世界物理年の今年は世界各地でさまざまな記念行事が行われました。いつもは物理の世界にあまりなじみがなかった人も、砂時計のような形をした世界物理年のロゴをどこかでごらんになったのではないでしょうか。

News@KEKやトピックスの記事を通じて2005年を振り返ってみましょう。

KEKと世界物理年の行事

物理学者アインシュタインが物理学の歴史に残る3つの重要な概念を発表してからちょうど100周年にあたる今年は、KEKでも世界物理年にちなんだいろいろな行事を行いました。戸塚機構長による講演会やノーベル物理学者小柴昌俊先生の講演会とバイオリンとピアノのデュオリサイタル、「物理100年」と題した公開講座などです。

世界中の素粒子物理学者がブログ形式で日記を綴る「Quantum Diary」にKEKからは西田昌平博士が参加しました。

他にも科学技術館で開かれた世界物理年「春休みイベント」や広島大学などとの連携で開催した学術講演会、日本学術会議が主催した世界物理年フォーラム「量子ビーム・テクノロジー革命」、高エネルギー物理学研究者会議が主催した基礎科学フォーラム「宇宙創成の謎に挑む最先端加速器」などの行事に参加しました。

建設が進むJ-PARC

2001年から建設が始まったJ-PARC(大強度陽子加速器施設)も4年目になり、3GeVシンクロトロンや50GeVシンクロトロンのトンネルなどもその全容を現しはじめました。8月8日にはKEKと日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)の間でJ-PARCの運営についての基本的な枠組みを定めた「大強度陽子加速器施設の運営に関する基本協力協定」の署名式が行なわれました。10月にはKEKが担当する50GeVシンクロトロンへの電磁石の搬入が開始され、第一号の電磁石をリングの床に固定するセレモニーが11月15日に行なわれました。

2008年の実験開始に向けて、原子核素粒子物理実験ミュオン科学実験(PDF)のプロポーザルの募集も開始されました。

さらなるデータの蓄積

KEKBとBelle実験では地道な性能向上を重ねて、実験データを順調に蓄積しています。11月22日にはBelle測定器が蓄積したデータ量が500インバースフェムトバーン(fb-1)に達しました。来年には世界初の実用化を目指すクラブ空洞を導入して、さらに多くの実験データを蓄積する予定です。

Belle実験グループではCP対称性の破れを記述するユニタリティー三角形の測定の精度を高めるほかにも、クォークの世代を越えて崩壊する新しい現象を捉えることに成功しました。また量子色力学の新たな展開を予想させる新しい粒子が次々と見つかっています

一方、フォトンファクトリーも3月から9月まで、性能向上のための大幅な工事を行ないました。心臓診断乳がんの早期発見をめざした技術開発や、生物の自然免疫系の仕組みの解明など、多くの成果が生まれています。

動き出した国際協力

2005年はいろいろな国際協力実験の準備が大きく進展した年でもあります。ジュネーブ郊外で建設が進められているLHC計画にはKEKをはじめ、日本の多くの大学が参加していますが、半導体検出器ミューオン検出器、超伝導磁石などの重要な部品の製作が終わり、現地での建設作業が急ピッチで進められています。

世界の物理学者がLHC計画の次の段階として期待を寄せている国際リニアコライダー(ILC)も、基本デザイン策定チーム(GDE: Global Design Effort)のもとで基本構成案(BCD: Baseline Configuration Document)の取りまとめ作業が急ピッチで進められました。今後はさらに具体的な国際協力のあり方や建設コストの検討などが行なわれる予定です。

KEKではリニアコライダーの重要な基礎となる超伝導加速空洞の研究開発で、従来とは異なる空洞形状を使用することにより、加速電圧の新記録を達成しました。

200本目の記事

広報室から2002年1月に初めてのNews@KEKの記事をお送りしてから今年で4年目になります。毎週木曜日にお送りしてきた記事は11月17日の「コンピュータを高性能に 〜半導体素子の界面反応を探る〜」で200本目を迎えました。これからもKEKの活動や関連する分野の動きをお伝えしていきます。

展示ホールをオープン

今年は8月24日につくばエクスプレスが開通しました。開通を記念するいろいろな行事が開催されましたが、KEKでも9月4日の一般公開にあわせて常設展示ホール「KEKコミュニケーションプラザ」をオープンしました。科学おもちゃや測定器の素材、放射線の測定装置などに触れながら、加速器や素粒子、物質構造の探求の世界を学ぶことができる施設です。

現在は平日のみの公開となっていますが、広報室では来年以降、隔週土曜日の試験公開やKEKコンサート、ミニ講演会などの各種イベントとのタイアップなどの企画を準備したいと考えています。ご期待ください。



※もっと詳しい情報をお知りになりたい方へ

→2005年のニュース一覧
    /ja/newskek/2005/

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[図1]
物理学者アインシュタインが「特殊相対性理論」「光量子と光電効果」「ブラウン運動」という三つの鍵となる理論を発表してから100年の今年、各地で世界物理年の様々なイベントが開催された。
拡大図(107KB)
 
 
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[図2]
J-PARCの50GeVシンクロトロンの最初の電磁石が10月26日にクレーンで搬入された。
拡大図(57KB)
 
 
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[図3]
KEKB/Belle実験の蓄積データ量が 500fb-1に達したことを喜ぶ関係者。
拡大図(89KB)
 
 
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[図4]
X線暗視野法で観察した乳頭腺管がん組織。空間解像度は20ミクロン(0.02mm)で、小さな乳がんの病巣も捉えることができている。
拡大図(62KB)
 
 
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[図5]
アトラス測定器とその内部にあるシリコンマイクロストリップ飛跡検出器(SCT)モジュールの拡大。アトラス測定器は高さ 22m、全長 46m、重量 7000トンの巨大な汎用測定器の一つ。
 
 
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[図6]imageShigemi Numazawa
全長約40kmにおよぶ電子・陽電子衝突型加速器「リニアコライダー」の完成想像図。国際協力によって世界に一つ建設することが議論されており、基本設計が進められている。
拡大図(65KB)
 
 
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[図7]
つくばと秋葉原を45分間で結ぶつくばエクスプレス。8月24日に開通した。
拡大図(72KB)
 
 
 
 
 

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