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J-PARCの施設利用 2007.10.11 |
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〜 ユーザーからのJ-PARC 〜 |
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大強度陽子加速器施設(J-PARC)の建設の進捗状況については、これまでもたびたびご紹介してきました。リニアック、3GeVシンクロトロン、50GeVシンクロトロンの加速器群は試験運転の段階に徐々に入っており、ハドロン実験施設、ニュートリノ実験施設、物質・生命科学実験施設では、建家の建設や装置の設置作業などが進んでいます。だんだん形が整ってきた施設建設の進捗状況を目の当たりにすると、実験開始がいよいよ目前に迫っていることを肌感覚で感じとることができます。 一方で、この施設を使って成果を生み出すことを目指している研究者の側でも、実験開始に向けた活動が活発になっています。 開かれた施設利用 J-PARCは、KEKと日本原子力研究開発機構が共同で建設を進めていますが、完成後の施設利用は、全国の大学や研究機関の研究者に対して広く開かれています。 KEKでは、「共同利用」という考え方に基づき、全国の研究者に施設利用の機会を開いています。J-PARCの前身とも言える、つくばキャンパスの陽子シンクロトロンは、この「共同利用」を具現化した先駆けであり、昭和46年に、この陽子シンクロトロンを主力加速器とした高エネルギー物理学研究所が、「大学共同利用機関」の第1号として設立されました。現在、KEKは、大学共同利用機関法人として、個々の大学では建設・運営が難しい大型加速器研究設備、大学間で共有することが有効な情報、加速器科学分野のネットワークの中心ノードとしての組織が集約され、全国の大学の研究者による共用がなされています。この「共同利用」の理念の下に、KEKの加速器施設はさまざまな研究成果を創出してきました。特に陽子シンクロトロンでは、素粒子・原子核分野、中性子・ミュオン利用分野の共同利用実験が展開されました。この陽子シンクロトロンの「共同利用」は、J-PARCの施設利用へと引き継がれます。 「ユーザー」のための施設 開かれた施設利用では、「ユーザー」としての全国の大学や研究機関の研究者が、重要な位置を占めます。ユーザーがよりよい研究成果を挙げられるよう、施設利用に関する情報提供や施設利用時の便宜供与など、使いやすい施設運営をしていくことは不可欠です。一方で、さまざまな研究計画を提案し、議論し、実際に施設を利用して成果を生み出すユーザー側の主体的な参加が、より円滑な施設運営に寄与し、創出する研究成果を充実させます。今年の3月には、ハドロン実験施設で研究を考えている研究者の間に「ハドロンホールユーザー会」が立ち上がりました。これについては、以前の記事でご紹介しました。また、国際共同実験グループであるニュートリノ実験グループは、年に数度のコラボレーションミーティングを行っており、今年9月のミーティングには、12ヶ国から約150名の実験参加者が集い、計画の進捗状況を確認しました。さらに、物質・生命科学実験施設で実験を考えている研究者の間にも、施設利用に向けた大きな動きがありました。 MLF利用者懇談会を設立 9月7日、物質・生命科学実験施設(MLF)ユーザーの相互の交流、各分野の相違を超えた総意を形成することにより、より良い利用を推進することを目的として、J-PARC/MLF利用者懇談会(代表発起人:京都大学 福永俊晴教授)の設立総会が原子力機構先端基礎研究センターにて開催されました。(一般会員238名、協賛会員16団体。9月6日時点。)設立総会では、同会の具体的な活動内容として、以下が合意されました。
また、設立総会に先立ち開催された記念講演会では、永宮正治J-PARCセンター長が「J-PARCの現状」と題して講演を行った他、第一線の研究者により様々な視点からJ-PARC/MLF利用の有用性や研究展開の展望などが講演されました。また、総会後に開催された懇親会には、茨城県や東海村、文部科学省の関係者にも出席いただき、J-PARC/MLFの大きな節目を参加者各位が実感するとともに、来年に迫ったMLF利用開始に向け、大きな期待が寄せられました。 施設の利用開始に向けて、研究者たちのユーザーとしての準備が、着々と進められています。
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