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トリスタン計画報告書TOP
 高エネルギー物理学研究所長挨拶
 高エネルギー委員会委員長挨拶
 1. は じ め に
 2. トリスタン計画の概要
 3. 研 究 成 果
 概略
標準理論の精密検証とその予言する新しい現象の発見
標準理論を越える新しい現象の探索
光子・光子コライダーとして
 光子の構造関数
光子分解過程の実験的検証
2光子過程における共鳴状態の生成
実験技術の開発
 4. トリスタンと加速器科学
 5. 周辺分野との関わり
 6. ま と め
 List of Figures
 List of Tables
 グラビア写真集
 
3. 研究成果

3.4 光子・光子コライダーとして

3.4.1 光子の構造関数


光子の内部構造の測定は、図36に示すような2光子衝突によるハドロン生成反応:eeee hadrons、において、電子または陽電子どちらか一方が大角度に散乱された場合に、大きな virtuality Z02を持った仮想粒子()をプローブとして、実光子に近い他方の光子()の内部構造を探るというかたちで行うことができる。そのためこの反応は、深非弾性電子・光子散乱(eeZ0)とも呼ばれる。深非弾性電子・核子散乱で核子の内部構造を調べたのと同じ原理を用いて、この反応により、光子中のクォーク(及びグルーオン)分布(あわせてパートン分布と呼ぶ)を研究することができる。この反応の微分断面積を測定することにより、光子の構造関数Z0 (Z0, Z02) が測定できる。Z0 (Z0, Z02) は、おもに、光子中のクォークの分布(Z0が、光子中のクォークの持っている運動量の比率を表す)を反映していると考えて良い。

トリスタンにおける Z0 の測定結果を図37図38に示す。広いZ02の領域(5.1Gev2Z02<390Gev2) にわたった測定により、Z02 が増加するに従って Z0 の値が増加していく傾向が明瞭である。また、QCDにもとづく理論の予想(図中の曲線)と一部を除いてよく一致している。光子中のグルーオンの効果は 、Z0 が 0.1 より小さい領域で重要であると予想されており、その効果はこのデータからは見えない。エネルギー的には Z0 〜0.01近くまでトリスタンで観測可能であり、現在そのための解析が進行中である。

図39図40は、eeZ0 散乱で観測されたきれいな1 ジェットおよび 2 ジェット事象それぞれの一例である。このようなジェット事象の観測は、反応がハードな散乱によって起っていることの明らかな証拠である。


 

Figure 36: 深非弾性電子・光子散乱によるハドロン生成反応
  
Figure 37: Z0Z0依存性:TOPAZの測定結果 Figure 38: 光子構造関数(Z0/)のZ02/依存性。
  
Figure 39: TOPAZで測定された 深非弾性電子・光子散乱による1ジェット事象 Figure 40: 左図と同様の2 ジェット事象



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