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3. 研究成果 3.4 光子・光子コライダーとして 3.4.1 光子の構造関数 光子の内部構造の測定は、図36に示すような2光子衝突によるハドロン生成反応:+−→ +− hadrons、において、電子または陽電子どちらか一方が大角度に散乱された場合に、大きな virtuality 2を持った仮想粒子(*)をプローブとして、実光子に近い他方の光子()の内部構造を探るというかたちで行うことができる。そのためこの反応は、深非弾性電子・光子散乱(→)とも呼ばれる。深非弾性電子・核子散乱で核子の内部構造を調べたのと同じ原理を用いて、この反応により、光子中のクォーク(及びグルーオン)分布(あわせてパートン分布と呼ぶ)を研究することができる。この反応の微分断面積を測定することにより、光子の構造関数 (, 2) が測定できる。 (, 2) は、おもに、光子中のクォークの分布(が、光子中のクォークの持っている運動量の比率を表す)を反映していると考えて良い。 トリスタンにおける の測定結果を図37、図38に示す。広い2の領域(5.1Gev2<2<390Gev2) にわたった測定により、2 が増加するに従って の値が増加していく傾向が明瞭である。また、QCDにもとづく理論の予想(図中の曲線)と一部を除いてよく一致している。光子中のグルーオンの効果は 、 が 0.1 より小さい領域で重要であると予想されており、その効果はこのデータからは見えない。エネルギー的には 〜0.01近くまでトリスタンで観測可能であり、現在そのための解析が進行中である。 図39、図40は、→ 散乱で観測されたきれいな1 ジェットおよび 2 ジェット事象それぞれの一例である。このようなジェット事象の観測は、反応がハードな散乱によって起っていることの明らかな証拠である。 Figure 36: 深非弾性電子・光子散乱によるハドロン生成反応 |
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