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3. 研究成果 3.5 実験技術の開発 3.5.3 低温機器の自動・長期運転 前記の超伝導ソレノイドのためのヘリウム液化・冷凍システムは、実験にとっての基幹設備であり、常に安定に稼働していることが要求される。3つの実験室には、それぞれのソレノイドの個性に応じた冷凍システムが用意された(表12)。その操作は、下記の3つに大別される;
保守・管理のための各種検査は、実験休止期間に定期的に実施された。毎年の保安検査および自主検査、そして3年ごとの開放検査は、高圧ガス取締法に従って遂行された。さらに制御システムや制御弁などの諸要素についても、点検・調整が毎年行われた。 制作以来の各装置の累積運転時間は、表12に記したように4万から5万時間に達した。この期間に、低温機器がもっとも恐れる電力供給トラブルなども何回か発生したが、安全のための自動操作シーケンスがいつも予定通りに作動し、ソレノイドを守るとともに、実験再開までの回復時間を最短にとどめた。 3システムを合わせた故障率を累積運転時間の関数で見ると、初期の故障は1000時間以内の短期で急減し、その後の故障率は 1000 時間に1回におさまっている。そのほとんどは短時間で回復したものであり、99.3 % とという高い稼働率が保たれた。つまり、実験遂行にとり、ほとんど支障がなかった。このような大規模の低温装置を、これほど長期にわたって安全に自動運転できた技術と経験は、非常に貴重なものであり、他のプロジェクトにも生かされつつある。 |
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