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4. トリスタンと加速器科学 4.2 加速器技術開発 4_2_6 加速器コントロールシステム コントロールシステムは制御計算機システム、タイミングシステム、通信システムおよび安全管理システムからなる。 制御計算機システムはリング一周にわたって分散して置かれた25台の16ビット計算機(HIDIC 80)から構成されており、そのうち14台は磁石、高周波、ビームモニタ、真空およびビーム輸送の各ハードウェアグループに割り当てられ、その他の11台は制御卓とアラームおよびタイミングシステムに使われている。計算機同士は10Mbps(bit/sec)の光ファイバトークンリングネットワークによって互いにつながっており、加速器機器と計算機とのデータのやり取りは、CAMACシリアルハイウェイにつながったCAMACモジュールを介して行なわれる(図72)。 タイミングシステムは数種のCAMACモジュールから構成され、これらのモジュールは加速器機器の同期運転のための同期信号(”イベント”信号およびクロック信号)の送受信を行う。同期信号はトリスタン加速器全域にわたって分配される。 通信システムは放送装置、電話網および双方向CATVからなる。CATVのためには中央制御室とローカル制御室の間に光ファイバネットワークが張られ、高品質のビデオ信号の送受信に使われている。 安全管理システムは加速器内入室管理、加速器扉管理、運転の非常停止等人間および加速器機器を保護するための高信頼性インタロックシステムである。 加速器制御のための応用プログラムの開発は、機器インタフェイスを担当したハードウェアグループのメンバーと加速器の運転や性能改善を行うビーム制御の専門家によって行なわれた。これらプログラミングの専門家でない人たちが容易にプログラムを作ることができるように、トリスタンではNODALと呼ばれるインタプリタ言語が採用された。NODALシステムはもともとCERNのSPS(Super Proton Synchrotron)を制御するために開発されたものであるが、トリスタンのNODALシステムはNODALの言語仕様をもとにKEKで独自に開発を行なったものである。 人間と計算機とのやりとりのために、カラーのタッチパネルが導入された。タッチパネルは1画面に42のボタンを表示でき、そのボタンを押すことにより数秒で加速器機器にアクセスできる。 トリスタンコントロールシステムは、運転開始以来トリスタン加速器の安定な運転および性能改善に貢献してきたが、加速器の性能向上に伴いより複雑な制御が必要となってきた。そこで数年前から最新の能力を持つワークステイションが導入された。新しく加えられた計算機システムは数台のワークステイションから構成され、軌道解析用ワークステイション群や研究所内ネットワーク上の他のワークステイションとつながっている(図73)。もとの計算機システムと新計算機システムはCAMACのメモリモジュールを介して交信を行っている。 |
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